「放射能除染」ということ

本年1月に「放射性物質汚染対策特別措置法」が施行されました。
それによれば、1ミリシーベルト以上の放射線量が検出されたと「政府が判定した」地域については、国の負担で除染をするということになっています。
国の負担と言うことは、要するに国民の負担と言うことです。負担するお金の出所が、税金であれ電気料金であれ国民が負担することに変わりはありません。
いずれにせよその地域の人だけではなく、広く国民の負担によって除染することになりました。
除染については、国からはほとんど何も示されていませんが、基本的には二つの方法が考えられます。
一つは、天地返しですが、果たしてこれを除染と呼んでいいのかどうか。放射性物質は長い年月をかけて雨水などによって地下水に浸透していきますので、相当長い期間の監視が必要となります。
もう一つは、表土を削り取る手法です。
放射性物質は、大体深さ20cmまでのところにほとんどが留まっているとされていますので、私のイメージでは30cmくらい除去すればよいのかなと思います。
国は、5cmであっても8県の102自治体が対象ですから、費用は数兆円に及ぶだろうとしています。仮に、5㎝で5兆円なら30㎝では30兆円という計算になります。1年間の国の税収の3分の2ですから、これが実行可能なのかどうか疑問が生じます。まさかこれも民主党マニフェストのように「できませんでした」で終わりにならないようにしっかりと監視しなければなりません。実際、チェルノブイリではあまりのコストの高さに除染をあきらめたと聞いています。
さて、さらにその上でもう一つ大きな問題が立ちはだかっています。
除染した土をどこへもって行くのかという問題です。
放射線量を測定したうえで、問題がないとされた焼却灰や汚泥についても受け入れてくれる地域がありません。
ましてや『問題があるから除染された土』を受け入れてくれるところがあるのかどうか。
その一方で、PTAなどで自主的に校庭などを除染して取り除いた土については厳重な管理をしていない事例も見受けられます。
それもこれも、どこまでどのように対処すれば安全なのか、どこまでどのようにしてはいけないのかという判断基準がさっぱりわからないことの証左だと思います。
国は法律を定めるだけではなく、その法律に基づいた国民への情報提供、それも間違いなく信頼できる情報を公表しなければなりません。これにはそれほど大きな予算はかかりません。
3.11以前からスピード感がないと言われ続けてきて、未だに議論ばかりしてなかなか動かない政府の対応には本当に失望するのみです。


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