少しマニアックな財政の話

平成21年12月議会において、市町村財政の透明度を高めるために、各種指標等を充実させた千葉県独自の決算カードの作成と公表を訴えました。
その結果、現在では総務省報告用とは別に、独自カードを千葉県のホームページで公表しています。
さて、総務省仕様の決算カードを見ると、『経常収支比率』について二つの数値が掲載されています。
たとえば、平成21年度決算状況の松戸市のページを見ると『93.7%』と『99.7%』という数字です。
そして、99.7という高い数値の方には、(減収補填債(特別分)及び臨時財政対策債除く)と書かれています。
一方、千葉県独自の決算カードの松戸市の項を見ると、経常収支比率は『93.7%』という低い方の数字のみしか書かれていません。
なぜ、総務省仕様が二つ掲載されていて、千葉県仕様は一つだけ、それも低い方のみを掲載するのでしょうか?
私はここに地方財政における、国・総務省と地方自治体・千葉県とのイデオロギーの対立をひしひしと感じるのです。
もしかしたら私だけの勝手な思い込みかもしれません。
その可能性も無きにしも非ずなので、表題は『少しマニアックな』としています。

さて、以下わかりやすく説明します。わかりやすくするために若干正確性を欠くことをお許しください。
経常収支比率は、市に通常入ってくる収入のうち、市としてどうしても必要な経常経費は何%あるのかという数値です。
松戸市では、税収や地方交付税などの収入のうち、99.7%が経常経費に使われているのですから、新たな市民サービスを増やせる予算は0.3%という微々たるものということです。
ところが、国が「松戸市さんにあとからお返ししますよ」という『臨時財政対策債』の補てん金があるのです。
もしそれが、ちゃんと補填されたならば、経常収支比率は、6%低くなって93.7%という数字になりますよ、ということなのです。
千葉県としては、「約束なのだから間違いなく国はちゃんと臨時財政対策債の分は払ってくれる」という立場ですから『93.7%』としか書きません。間違っても国が約束を反故にした時の数値『99.7%』など書かないのです。
ところが国は、わざわざ二つ書いています。なぜ二つの数字を書いているのでしょうか?
もしかしたら、心のどこかに「約束を破ってもいいかな」という発想がないかどうか?非常に気になります。
そういう背景を考えていくと、「これはまさに地方財政における地方と国のイデオロギーのぶつかり合いだ」と私には思えてしまうのです。
したがって、千葉県独自の決算カードに、私は二つの数値を乗せるべきだとは決して言いません。たとえ少しばかり不親切であったとしても一つで十分だし、経常収支比率はただ一つしかないと言い切りたいと思っています。


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