日別アーカイブ: 2009年11月15日

舞台はアメリカ上院へ(第329回)

11月7日23時7分、アメリカ下院において医療保険制度改革法案が可決した。
賛成220、反対215という微妙な賛成多数だった。
国民皆保険は、オバマ大統領の最優先の国内課題だったが、民主党からも39人が反対にまわったと伝えられている。
いずれにせよ今後の舞台は上院に移ることになる。
同法案について、もっぱらわが国としてどういう影響があるかという点で見れば、たとえば個人の保険加入の義務付け、低所得者向けの保険である『メディケイト』の対象拡大、保険会社に対しての既往症を理由にした保険加入拒否の禁止などがあげられる。
これらの施策は、アメリカでの医師不足をますます助長し、ひいてはわが国からの医師流出につながっていくことだろう。
わが国の医師不足をさらにさらに顕在化していくのである。
仮にも同法案が年内成立となれば、振り返ってみたときに2009年が世界的な規模での医師流動化の時代の幕開け だったと言うことになるのかもしれない。
アメリカ上院100人のうち民主党議員は60人、共和党議員は40人である。
数の上ではおそらく成立するのであろう。
成立したからといって、いきなり国民健康保険加入者が83%から96%になるということは現実的にはありえない。
しかしながら、わが国の医師不足対策をさらにスピードアップしなければならないことは言うまでもない。