結局は企業誘致?(第222回)

地方の力をどう見るかには様々な議論があるだろう。
一つの試みとして地方税収を平成13年と平成18年のそれぞれ決算ベースの金額で比較してみよう。
単純な増減では47都道府県で、増が「22」、減が「25」である。
北から見ていくと、まず北海道がマイナス223億円で眼を覆うばかりだ。
東北は青森以外はマイナス。一番大きいのは秋田の105億円の減。
関東は全てプラス。東京が5262億円、最も少ない群馬で66億円のプラス。
中部では富山、石川、静岡、愛知、三重が増額。愛知が1384億円の増なのに対して長野は234億円の減少だ。
近畿は奈良、和歌山以外は増額。大阪の645億円増に対して奈良は61億円の減。
中国は岡山、広島、山口の瀬戸内海に面しているところは増。例えば広島は283億円の増額。
これに対して鳥取58億、島根81億円の減。
四国は全てマイナス。一番大きく落ち込んだのは高知の74億円だ。
九州は福岡、大分、沖縄がプラス。福岡は295億円の増額だったが、鹿児島は102億円の減額だ。
以上の比較を金額ではなく比率で見てみるとベスト5が愛知12.7%、東京12.0%、栃木11.2%、沖縄0.96%、広島8.9%の増。
ワースト5は島根10.6%、高知9.96%、秋田9.43%、鳥取9.28%、長野8.65%の減である。
さて、その一方で都道府県の人口を平成12年と平成17年の国勢調査で比較して見ると人口の増えているのが14都府県ある。
北から栃木、埼玉、千葉、東京、神奈川、静岡、愛知、三重、滋賀、京都、大阪、兵庫、岡山、沖縄であり、この14の自治体のうち京都を除いて13都県で税収が増えていることがわかる。
さらに人口と税収の関係に注目すれば、人口が減っているにもかかわらず税収が増えた県が8つある。
北から青森、茨城、富山、石川、広島、山口、福岡、大分である。
人口減は当然のことながら個人住民税の減少となって表れる。にもかかわらず地方税を伸ばすには相当の法人の頑張りが必要だ。
ましてや低金利政策により利子割部分が大きく減少しているなかでのことである。
結局、ここでの勝ち組は企業の誘致に成功した(過去から現在まで含めて)都道府県ということになる。
すると企業誘致による活性化政策は果たして過去のものだと言い切れるのかどうか?
現実の数字の上ではまだまだ十分有効であり、むしろこれから先もいつまでも有効であり続ける可能性が高いように思うのである。


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