新型インフルエンザの恐怖(第161号)

千葉県議会に初当選した2003年4月、真っ先に行なったのがSARS対策についての調査活動だった。
県内各地の病院や千葉大学、そして成田空港での対策の現状を視察し、関係者と意見交換をさせていただいた。
2002年11月16日、中国広東省での新型肺炎の集団発生はそれほど衝撃的だった。
私はこのとき、成田空港や千葉港を有する千葉県にとって、感染症対策は県政の主要テーマであると実感した。
今となってはSARS(重症急性呼吸器症候群)のことを覚えていらっしゃる方はほとんどいらっしゃらないかもしれない。
しかし、県政の主要テーマであることにはかわりがない。
そして今は、SARSではなく、新型インフルエンザである。
国立感染症研究所・岡田晴恵著「H5N1型ウイルス襲来」 (角川SSC新書)は非常に有益な本である。
SARS調査の時に成田空港で見せてもらった旅客の体温を調べるセンサーは、新型インフルエンザウイルスに対しては役に立たない可能性があることが指摘されている。
この本によれば、たとえ感染した人が入国審査を受けたとしてもその時点で発熱していないことがあるのだという。
また、自然災害と異なり、世界中が同様のダメージを同時に受けてしまうことも指摘されている。したがって、他国からの救援も期待できない。なるほどその通りだろう。
ほとんど100%の人が発症し、若くて体力のある者であっても死亡率の非常に高い新型インフルエンザ対策にあっては、たとえ効果は限定的かもしれないが、国はワクチンを十分に用意すべきである。
そして都道府県も含めて全国民分のタミフルを用意すべきである。
タミフルが危険性だという声があるが、残念ながら現時点でほかに有効な選択肢がない以上タミフルに頼るしかない。
そう見ると千葉県は約50万人分のタミフルを備蓄しているが、これではまるで足らない。こういうものにこそ行政は予算を投入すべきだと思う。
WHOの感染者・死亡者報告を見ると世界全体としては2006年がピークだったように見える。
ただ非常に気になるのが、その後エジプトで感染者が増えていること(2006年18名が2007年が20名)、そしてラオスで2名の死亡者が出たことである。
人類とウイルスの戦い(?)は未来永劫間断なく続くのである。


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