日別アーカイブ: 2007年7月2日

答えの出ない浸水問題

かれこれ15年以上経つのに未だに忘れられない議論がある。
平成3年9月11日の松戸市議会での公明党・上原勝議員と宮間満寿雄市長(当時)とのやり取りである。
前月8月23日に時間当たり53.5ミリと言う豪雨があり、栄町西地域に広範囲にわたる浸水が起こった。
そこで上原議員が「降水量以外に原因があったのではないか?」と糾したのである。
それに対して宮間市長がこう答弁している。
「松戸市の治水問題の中で、私が一番心配をしていることがあるわけでございます。(中略)江戸川の水位が上昇をする、上昇してしまっている、樋門が全部閉まっている、そこに大雨が降った場合であります。いわゆる出どこがふさがれているわけですから、(中略)8月23日の問題は、まさにそのときに当たったわけであります。(中略)北千葉導水路と坂川との接点にありまする樋門の管理、これを早く開けなけきゃいけないと私は思うのであります。建設省は、これに対する管理規定を持っておりまして、(中略)改正してもらわなければならないんでありますけれども、(中略)いわゆる浸水しないと樋門を開けられない計算になっているんですね。(中略)
ですから、こういうふうな施設は幾らつくってもやっぱりその管理について規則一点張りですとそういうことになるわけであります。(以下略)」
ここで私は二つのことが気にかかる。そしてそれゆえにこそ、この15年以上前の議会でのやり取りが脳裏に残っているのである。
第一に、最後の市長の発言にもあるように、所詮立派な施設をつくっても、管理する側が的確に自然の猛威に対応しなければ、災害が防げないばかりか被害を増大してしまう と言う事実である。そして、たとえ熟練した担当者がいたとしても自然の複雑な動きに100%的確に対応することは不可能であるだろうから、今後も施設があるがゆえに被害をもたらす事例、被害を増大する事例はでてしまうだろうということである。
第二に、そもそもなぜ江戸川の水位が上昇していたのかと言う検証がなされていない点である。仮にこれが、上流部のダムの放水にかかわってくる問題だとすれば、松戸市のような下流域の浸水問題まで考慮しながらいくつものダムの放水を的確に行うことなどできるはずがない ので、浸水問題に限って言えば、ダムがなければ良かったということ結論になってしまう。
この辺で私の思考は堂々巡りを始める。そうして平成3年の松戸市議会でのこのやり取りが未だに脳裏に残ったままなのである。