国の形を変えるもの(第497回)

年金制度もそうなのだが、これまである制度を全く無視して新たな制度を立ち上げるというのは難しい。
これまでの制度の上に恩恵を受けている人がいるのは事実だからである。
日本の国は医療機関へのアクセスについての自由度が非常に高い。
風邪でさえも東大病院で診てもらうことが出来る。
これがイギリスやデンマークのように必ずかかりつけ医師に診てもらわねばならないとなると反対の声は大きいだろう。
スウェーデンのように、病院にはなるべく入院させない、原則として延命措置はとらない国もある。
デンマークのように命にかかわらない病気や歯科は完全に自己負担という国もある。
こうした医療制度をわれわれが受入れるのも非常に難しいだろう。
これまでの制度から飛躍があり過ぎると国民的合意は不可能に近い。
事の大小の差はあれ、人の本質が保守性にある以上、制度を変えるのは難しいし、ましてや国のありかたを変えるのは至難の業だ。
変えるためには幾つかの条件が必要だ。
一つは、外圧であり、もう一つは国民が感じる痛みである。
言いかえれば、この二つのどちらかがないと国は変われない。(私たちも変われない)
これは、一人日本人だけの話ではない。欧米人もまったく同じである。
では、外圧もなく痛みもなく制度を変えた例はあるだろうか?
それは確かにある。
たとえば衆議院の小選挙区導入もその一つに違いない。
あのときはまるで熱病におかされたようだったと評する人がいる。
すると国の形を変えるのは、「外圧」「痛み」「熱病」となる。
どれもこれも分別ある大人なら自らの変革に使いたくないものばかりである。
子どもたちに分別ある大人としての行動を見せたいものである。


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