消えた年金番号5000万件

テレビも新聞も連日のように宙に浮いた基礎年金番号を報じている。
自民は、基礎年金番号導入決定時の厚生大臣は菅直人氏であるというチラシを撒き、民主は導入時の厚生大臣は小泉純一郎氏だと反論する。
ここまで来ると泥仕合も極まれりという感がある。
厚生大臣が菅氏であろうと、はたまた小泉氏であろうと、要するに当時は自・社・さ政権であったことは記憶にとどめておく必要があろう。
さて、当時の厚生大臣であった菅氏が、仮に官僚の作文を読んでいたとしても当時どういう発言をしていたかは検証しておく必要がある。
平成8年2月29日の衆議院予算委員会第4分科会で菅大臣は次のように発言している。
「年金制度の適正で効率的な運用と行政サービスの向上を図るため、平成9年1月より公的年金番号を共通化した基礎年金番号を導入することとしております。」
つまり基礎年金番号の導入は適正で効率的な運用が目的だったわけである。
そして、その1ヵ月後の3月25日の衆議院厚生委員会ではこう答弁している。
「基礎年金番号の導入を図ることとしておりますが、これが実現すれば、より根本的、効率的な未加入者対策ができるようになる、このように考えております。」
菅氏には気の毒なほどこの発言はまるっきり的外れである。
さらにその1ヵ月後、4月25日の本会議では自・社・さ各党を代表して横光克彦氏(発言当時は社民党、現在は民主党)が菅氏に対しての質問のなかでこう述べる。
「基礎年金番号の導入は、先ほど述べました国民年金の空洞化を防ぐ一つの方策になると考えております。これにより、国民年金への加入状況の正確な把握が可能となり、未加入者の発生防止に役立つと思われるからであります。」
この発言の「国民年金の加入状況の正確な把握が可能になり」ということもとんでもない間違いだったことを横光氏も自・社・さ各党を代表して認めるしかないだろう。
こうしてみていくと、民主の批判も自民の主張も、10年前に仲間だった者たちの仲間割れに思えてくる。
この論争がこの先どこまで続くのか、どういう形になっていくのか想像もできないが、少なくともこうしたやり取りを続けていけば、両党とも国民不在という最悪の批判を受けることになろう。


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