3月28日の朝刊各紙は、先の千葉地裁判決に対して白井市が控訴する方針であることを報じています。
朝日新聞には『白井市の前市長が北総鉄道の運賃値下げ支援補助金を専決処分で支出したのは違法とした千葉地裁判決を受け、敗訴した市は27日、東京高裁へ控訴する方針を示した』との記事。
第三者的立場から見れば、高裁がどういう判断をするのか非常に興味があります。それは、首長の行う『専決処分』の重さが問われる裁判だからです。
議会は、已むに已まれぬ事情を理解して専決処分を認めています。そして、それは専決処分後の初めての議会で採決しても否決されることはないという前提があります。
もしかしたら否決されるかもしれないといった案件の専決処分を認めるわけにはいかないというのが議会の立場です。
一般論でしたら、これで「議論終わり」なのですが、白井市のケースは単純ではありません。
前市長の専決処分が住民の利益につながるという側面があった場合はどうでしょうか。
私は、あのとき前市長が専決処分をしなければ、間違いなく北総鉄道料金の値下げは実現しなかったと思います。
議会の意思が真っ二つに分かれ議決に至らなかったのです。そこで、前市長はキャスティングボードのように専決処分を行ったのだと理解しています。つまり専決処分は市民の利益につながったと思います。
ところが、さらにもう一段階、この問題を複雑にしているのが地裁の判決内容です。専決処分は認められないとして前市長に対して市への補助金の返還を求めているのです。仮に返還されれば、それもまた市民にとって利益になります。
すなわち、市が控訴した場合、市は敗訴すれば、前市長から補助金の返還があり市民の利益になる、市が勝訴すれば何も変わらないという不可思議な構造なのです。
北総鉄道運賃値下げ問題はまるで多次元方程式のような複雑怪奇な様相を呈しているのです。
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