第三セクター等改革推進債のもたらすもの

ブームというものは、社会の動きに対応している議会にも行政にもあります。
ひところの議会は、全国各地で『美術館建設』が論じられ、その後には全国各地とまでは言いませんが『水族館建設』が論じられました。『公営温泉掘削』が論じられ、公営温泉の『レジオネラ菌問題』も論じられました。
こうしたブームにも、それを論じること自体にも良し悪しはありません。
しかし、取り上げて推進するのであれば、それが市民のためになるのかどうかという評価が必要です。
たとえば、よく話題になる新しい『公会計制度』の導入についても、現行の会計制度では足りない部分を補うという取り上げ方をされるべきであって、現行制度を時代遅れなものという認識で取り上げられてはあまりに乱暴です。
いま非常に気になっているのは『第三セクター等改革推進債』(通称「三セク債」)です。議会では、三セク債を活用して土地開発公社などを解散せよと論じられます。
しかし、何でもかんでも三セク債を使って公社を解散することが市民の利益になるとは限りません。
また、仮に三セク債で公社等を解散することが市民の利益になったとしても、それ以上に利益を得ているのは誰かという視点は必要です。
自治体が、第三セクターの債務保証をしていた場合、その借金は市民県民の借金です。第三セクターの借金を自治体に移し替えても市民県民の利益につながりません。
市民県民の利益になるのは、借金の利払いが下がるときです。そうであれば、わざわざ三セク債を発行せずとも、現在借りている金融機関に金利を下げてもらえば済む話です。
それをあえてしないで、わざわざ三セク債を発行するのは、言うまでもなく、金融機関の利益のために市民県民の税金を使うことに他なりません。このことを了とするという前提があって、はじめて三セク債発行を推進すべきなのです。
私は、三セク債の発行も一つの重要な判断だと思います。それは否定しません。しかし、こうしたことを続けている限り、わが国金融が欧米金融機関との競争に勝つことは将来にわたってありえないと思います。


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