マスク・スタンダード

5月16日に国内初めてのインフルエンザ患者が確認されたのが神戸市だった。
おそらく、ここからの広がりがそれほどでもなければどうということはなかったに違いない。
ところが、数日を経ずして感染患者は拡大していった。
テレビもほとんどの人がマスクを着用している神戸市内の映像を流す。
神戸に行く人が激減する。
実際、春日野道(神戸市中央区)の友人からの電話では三ノ宮の駅前ですら通行人がほとんどいないとの話だった。
私が、必ず一度は子どもたちに見せたいと思っている「人と防災未来センター」(神戸市中央区)など、この時期はひっきりなしに次から次へと修学旅行生が全国から来るのだ。
こちらも多分、確認はしていないが相当来場者が落ち込んだことだろう。
こうした事態は、もちろんインフルエンザ感染の恐怖に起因しているが、この恐怖の正体は「第一号患者の確認」よりも、その後の「感染者数拡大のスピード」だったのではないか。
日経ビジネス(6月8日号)に有馬温泉旅館共同組合長の悲痛な叫びが掲載されていた。
神戸の奥座敷・有馬温泉(神戸市北区)は連日キャンセルの嵐が吹き荒れ1億円を超える損失なのだという。
これはわが千葉県も真剣にならざるを得ない重大事態である。
現在の千葉県では成田空港関係者の感染が広がっている。
このこと自体は十分すぎるほど想定されているケースである。
空港のレストランやショップやラウンジで働く人たちは最も感染可能性の高い人だろう。
では、この人たちをどう守るのか?
この人たちを守ることがひいては千葉県全体も日本全体も守ることになるのである。
神戸の事例を見れば、要点は?第一号を出さないこと?感染の急拡大を防ぐことの二点に絞られるように思われる。
どちらも難題だが、働く人の命や千葉県観光をはじめとする経済損失を最小限に食い止めるにはこの二つが必要条件だ。
サービスの目的が接客である以上、インフルエンザの感染を防ぐにはマスク着用がどうしても必要だ。
したがって、一般通念としてマスク着用の接客を理解してもらうしかない。
世界のどこかでインフルエンザが発生したときにはこういう状況に立ちいたった場合は「空港内マスク着用」を実施します、こういう状況にならない限り「空港内マスク着用」を継続します という基準を定めるしかない。(これとてお金と商品お受け渡しを考えれば序の口の対応だろう)
残念ながら今のところはこのスタンダードを明確に決めて公表しておく以外に感染拡大を防ぐ方法はないと思う。
いよいよ南半球の国々は、これから本格的な冬、インフルエンザの季節を迎える。
わが成田空港は全世界に開かれていることを忘れてはならない。


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