他壊か自壊か?(第309回)

衆議院総選挙の街頭演説でもしばしばお話させていただいたが、民主党のマニフェストは壮大な嘘から成り立っている。
週刊東洋経済9月12日号はそのことについて特集を組んでいる。
たとえば、民主党は国家公務員を地方へ移管することで人件費2割をカットするとマニフェストに書いたが、移管された地方の負担増をどうするのかには全く触れていない。
たとえば、民主党は財源はムダを省けばよいというが、民主党の打ち出した政策に対して、毎年毎年何兆円ものムダを出し続ければ10年もたたずして国家予算そのものがゼロになる。
まさに壮大な嘘を大声で言ってしまったものである。
細川内閣時代の与野党逆転では、野党となった自民党には数のパワーが厳然とあり、結局のところ1年持たずに攻め滅ぼされた悔しさが残った。
さて、今度の民主党中心政権はどうであろうか?
少なくともパワーという点では野党には歯が立たない。しかし、民主党にはもっと恐ろしい内部抗争の可能性がある。
つまり他から攻め滅ぼされるのではなく、自ら滅んでいく。ここには空しさしか残らない。
千葉県議会の民主党を見ていても、よくもまあバラエティーに富んだ人たちが集っていると思う。実際、議決のときに賛否で一致団結できないことが出てきてしまう。
たかだか20名でそうなのだから、衆議院で300名超をまとめていくのは至難の業だろう。
そのうえに壮大な嘘を国民の前に堂々と表明してきてしまったのだからなおのこと収拾は難しい。
これからの国家運営は困難を極める。
少子高齢により、税負担など支える側が急速に減ってくる。公的サービスなど支えられる側が急速に増えてくる。
年金もさることながら医療費支出の抑制もインフラの整備も維持も災害対策も実に大きな問題だ。
にもかかわらず負担増は単身者のごくごくわずかで、大半の人は負担をすることなく、年金は多くもらえて、高校が無料になって、子どもには多額の現金が毎月支給される。
このような格段のサ?ビスの充実を所得制限無し行うとすれば手品のタネは一つしかない。
大幅な赤字国債の発行である。
小泉内閣は赤字国債発行を30兆円以下にすると明言したが、残念ながら守ることは出来なかった。
医療費が毎年1兆円伸びてしまうのを何とか伸び率を鈍化させるべく2200億円抑制すると骨太の方針にまで書き込んだが、これも実現できなかった。
2009年夏の国民の選択が結果として民主党の自壊を招くだけなら良い。それは自らの嘘が招いたことだ。
しかし、その政策により国自体が危うくなるとなればとんでもない話である。
今後もわれわれが民主党の政策をきっちり糾していかないと、それこそ国が自壊してしまうのである。


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