藤井猛9段のこと

前回は、羽生2冠のことを書きました。将棋界に興味の無い方には申し訳ありませんが、もう一度だけ棋士について書かせていただきます。
藤井9段は、羽生2冠と同い年です。羽生氏はタイトルの81期保持という大偉業を達成しましたが、藤井9段はこのほどB2級に陥落しました。
将棋の世界は本当に厳しい世界です。全国から天才と言われた子どもたちが集まってきて奨励会に入会し、ぎりぎりまで鎬を削りに削るのです。
奨励会の初段ともなれば、優に県代表クラスの実力があります。そして奨励会で昇段していって4段になるといよいよプロの棋士になります。その段階、すなわち4段でC2級です。
1年かけて順位戦を戦い、上位2名が上のクラスに上がり、逆に下位2名が下のクラスの落ちます。
単純に考えても、4段同士の対戦で上のクラスに上がるためには4段の実力ではだめで、5段以上で場合によればA級の8段の実力がなければ昇段できません。
順調に昇段すると、C2級(4段)、C1級(5段)、B2級(6段)、B1級(7段)、A級(8段)となり、A級の1位になった者が名人への挑戦権を得ます。クラスは上がったり下がったりしますが、段位は一度上がればその段位を名乗れます。
さて、ここで考えていただきたいのは、たとえばA級だった人がB1級に陥落したとします。
もう一方で、このB1級にはB2級から上がってきたばかりの人がいます。つまり、落ちてきたばかりの人と昇ってきたばかりの人がいて、両者が対局するのです。
たいがいの場合、昇ってきた人は若い人で落ちてきた人はベテラン棋士です。昇ってきた人は「さあ次はA級だ!」と思っているでしょうし、落ちてきた人は「何とかB1級にとどまりたい。もうこれ以上落ちたくない」と思っていることでしょう。
両者の心理、モチベーション、勢いを想像すると、棋士の世界というのは途方もなく残酷な世界だと思います。
本当に将棋が好きで好きでたまらない人でなければ生きていくのは無理な世界です。
藤井猛9段は、今期でB2級へ落ちました。しかし、必ず復活すると私は信じています。何よりもあの時代に「藤井システム」を生み出した独創力があります。
今一度、固定観念(藤井システムという戦法)を捨てるという困難に勇敢に挑んでほしいと切に願うものです。
 


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