ハリネズミ防衛論の終焉(第355回)

ニューズウィーク3月31日号は『無人機の「拡散」が生む脅威』に警鐘を鳴らしている。
予想されていることとは言え、安全安心社会からどんどん離れていっている世界の現実がある。
記事によれば、『今ではロシアやインド、パキスタンなど、少なくとも40数カ国が無人機の製造や購入、配備開始』しているという。
そして『イランは武器を搭載できる無人偵察機の生産を始め、中国はアメリカのプレデターとグローバル・ホークのライバルとなる無人機を発表した。』
無人機は、兵器の最も安い運搬道具である。
かつて数次にわたる中東戦争の際、アラブ側のミグ戦闘機がイスラエル側の対空ミサイルに次々打ち落とされるということがあった。
これにより、一気にミサイル防衛の機運が高まった。
高価な戦闘機が安価なミサイルに撃ち落されるならハリネズミのように日本列島をミサイルで守ることができる。
それは同時に防衛費の大幅削減につながるということで、わが党がハリネズミ防衛論を主張したのは1980年代だったと記憶する。
しかし、現代テクノロジーによる無人機は、そのミサイルよりもはるかに安価に製造できるのだという。
また、『熱を発しない電池駆動の超小型無人機は、従来の熱追尾式ミサイルでは迎撃が難しい』のだという。その一方で、ムンバイなどの爆破テロ報道によれば第2のアルカイダと言われる「ラシュカレ・トイバ」という組織が現れたと言う。
無人機が安価であると言うことは、テロに使われる危険性が高いことを意味する。
非常に厄介な時代に入ってしまったものだと思う。
時代が進み、科学が進歩することの意味は一体何なのか、われわれは改めて問い直さねばならないのだろう。


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