騙しとおすことはできないもの

我が国では、自殺者が毎年3万人を超えるということが大きな問題となっています。
その原因について、ある方は競争社会によるストレスだといい、ある方は不況のせいだといい、ある方はある種の栄養が足りないせいだといい、まさに百家争鳴状態です。
バブル崩壊の時期から自殺者が増えはじめていることから、国内の経済状態が何らかの影響を与えていることは間違いないと思われます。
最初にバブル崩壊仮説を聞けば、身についた浪費癖のせいで借金を繰り返し返済に行きづまるという理由がもっともらしく思えてくるでしょう。
しかし、これが正しい原因かどうかはだれにもわかりません。
自殺をしやすい年齢が40歳以上だということに着目すれば、たまたま団塊の世代の方々がその年齢に達したということが原因かもしれません。
3万人という多さがほかの国には見られず、日本だけの現象だとすると、この団塊世代年齢仮説(あるいは少子高齢社会仮説)がもっともらしく見えてきます。
しかし、これが正しい理由かどうかはだれにもわかりません。
政治家は、自殺の原因がわかりませんので、それらしく見える原因に対しての処方箋を政策として打ち出します。
その政策が効果を表すのがいつ頃なのかはだれにもわかりませんので、仮に自殺が減っても増えてもその政策との因果関係はわかりません。
つまり、自殺対策に限らずあらゆる社会現象についての政策は検証ができないという結論になります。
したがって、民主党マニフェストがいかにいい加減であっても、社会現象に対する政策だけであれば言い逃れはいくらでもできました。
ところが、実際にはそうそううまくはいきません。筆が滑ったというべきなのでしょうか、民主党は二つの失敗をしました。
第一に、社会現象だけではなく「予算の組み替えで16兆円の財源が生み出せる」などだれの目からもはっきりわかってしまうことまでマニフェストに書いてしまいました。
第二に、「八ツ場ダムは中止」「後期高齢者医療制度は廃止」「ガソリンを半額にする」などとできもしないこと、やらないほうがよいことまでを書いてしまいました。
やはり、人を騙すというのは一時的にはできても結局はばれてしまうものなのですね。


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