懸念される財政再建の目的化

このところの世界経済は、私が経済学を学んでいた30数年前の理論では説明しきれないことが次々起こっています。
そもそもユーロという単一の通貨が、歴史も文化も信用度も異なる経済で使用されることについての研究など想定していませんでした。(強いて言えば、ドルペッグ制というものはありましたが)
30年前の私が習った財政学からすれば、わが国財政は破綻していてもおかしくない状況に見えます。
誤解を恐れずに言えば、むしろ破綻していない方が不思議という気がします。
かつての子どもたちの言葉でいえば『お前はもう死んでいる』です。
巨額な赤字を抱え、しかも歳入を見れば、公債費が税収を上回るなど、まさに異常事態です。
ところが現実のわが国財政は破綻をしていません。
金利も上がることなく、国債は飛ぶように売れています。
それしか選択肢がないからやむを得ず国債を買っているのでしょうが、千葉県の公募債などもそれこそあっという間に完売するのです。
してみると、いま「財政再建、財政再建」と叫んでいる人も、いったい何のために財政再建を急ぐのか?をもう一度考え直した方が良いように思います。
つまり、財政再建を急ぐあまりに、仮にも本当に日本を殺してしまってはそれこそ本末転倒です。
あくまでも財政再建は目的ではありません。
目的は、わが国が生き続けること、それも活性化しながら生き続けること。そのために財政再建が必要だという順序でなければなりません。
財政再建のためには景気浮揚がどうしても必要です。財政再建策によって、そのきっかけを失ってしまってはなりません。
「最初に増税ありき」というのでは、すでに財政再建自体が目的化してしまっている懸念ありと言わざるを得ません。


Notice: compact(): Undefined variable: limits in /home/na-tive/www/lab_fujii/wp-includes/class-wp-comment-query.php on line 853

Notice: compact(): Undefined variable: groupby in /home/na-tive/www/lab_fujii/wp-includes/class-wp-comment-query.php on line 853