厄介な地方自治

10月25日の毎日新聞は館山市坂田地区の残土埋立計画の記事を書きました。
『地域振興か自然保護か』という記事です。
地域の住民は賛成、隣接地の移住者は反対という構図のようです。
このように本当の地元の人たちは賛成していて、周辺の人たちが反対という構図は珍しくありません。
たとえば道路をつくる場合でも、その道路が通らないために住宅地にも通学路にも通過する車がどんどん入り込んでしまい、地元住民は早く道路を通してほしいと思っているのに、その地に住んでいない人たちが道路の開通を反対している例などがあります。
その道路が森を通る場合などは、マスコミが取り上げて「森を守れ」「樹林を守れ」というキャンペーンとなったりします。すると子どもや地域住民の安全については発言することすらできなくなってしまいます。
地域のことは地域で解決するという地方自治の本旨で考えれば、地域の人たちが賛成ならそれで良いではないかとなります。
しかし、地域という範囲を広くすれば賛否が拮抗し、さらに範囲を拡大すると実は反対派が多数ということになるかもしれません。
すると、地方自治にとって地域の範囲というものが実に重大な意味を持つことに気が付きます。
おそらく、正解はそれが実現した時の影響の大きさということなのでしょうが、問題は環境問題においてはほとんどの場合そもそも影響がわからないということなのです。
影響がわからないから地域の範囲が決められない。地域の範囲が決められないから地方自治は厄介。厄介だからお上に任せてきたというのがこれまでの歴史でした。
これからは、そうした手法から決別しなければなりません。すると、当然のように住民の間にシコリが残ります。
言い方を変えれば、そのシコリに耐えて暮らしていかなければならないのが地方自治の本質だというわけです。
私たちの発想も生き方も大転換する。優しい環境だった海から陸上に上がった祖先(?)のような苦しみを味わうのかもしれません。


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