アクセルを踏むか?ブレーキを踏むか?(第439回)

少し前のことだが、9月3日に神奈川県住宅供給公社は『神奈川県住宅供給公社が目指す新たな民営化の方向性』というペーパーを発表した。
平成18年1月に同公社の民営化基本指針が出され、それから3年かけて専門家を交えた検討を行い、その結果を県に報告したのが昨年6月。
そして、翌7月に公社理事長に民間出身者をたて、この本年9月3日の『方向性』となった。
結論はきわめて明快だ。
『平成27年4月1日の民営化を目指して取組みを進める』のである。
それゆえ、神奈川県住宅供給公社の『ヴィンテージ・ヴィラ』シリーズはまさに異色である。
県の住宅供給公社が、財団法人シニアライフ振興財団と組んでケア付き高齢者住宅を運営しようというのだから。
一方、わが千葉県はどういう対応をしたのか?
千葉県住宅供給公社は、バブル経済の崩壊による保有地の値下がりで多額の含み損を抱えることになった。
自力での再建は不可能と判断し、平成16年2月に特定調停を申し立て、翌年1月21日に調停成立となる。
その内容は
?公庫債権154億円は40年間の元利均等返済とする(年利0.15%)。
?民間金融機関の債権は約45%を放棄してもらい、残額は平成17年度に返済する。
?千葉県は公社の弁済資金の新規融資、土地区画整理事業を引き継ぐ。
というものだ。
現在、千葉県住宅供給公社は新規の宅地・住宅分譲は行わず、事業の中心は賃貸住宅の管理となっている。
神奈川県はアクセルを踏み、千葉県はブレーキを踏んだ。
その対処法は180度異なる。
少なくとも両者ともアクセルを踏みながらブレーキを踏むという当事者能力の欠落した最悪の対処法ではなかった。
現時点でどちらが正しかったかは分からない。
私は神奈川県の意欲的な手法が順調に進むことを心から期待している。


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