今日の日経新聞文化面は『東西哲学の対話 光再び』という表題で慶応義塾大学の名誉教授・井筒俊彦先生のことが取り上げられていました。
司馬遼太郎の『十六の話』(文春文庫)のなかに井筒先生との対談が収められており、それを読むと人間というものの偉大さに思わず頭が下がります。
いきなり話が飛びますが、釈迦滅後100年以上たって釈尊の教えをまとめよう(?)ということで、仏典結集が行われました。
釈尊の教えは文字になっていませんので、弟子のアーナンダーが「私はこう聞いた」という教えを語ります。それを周りにいる教団幹部が「確かにその通りだ」と認めたものを正統な釈尊の教えとしました。
これが仏典結集ですが、私は正直なところそんなことができるのかと思っていました。
しかし、井筒先生や、特に井筒先生にアラビア語を教えたムーサー・ジャールッラーハ氏の話を伺って、仏典結集は事実だったと確信しました。
自分の考えや想像力がいかに貧弱なものか、それを基準に考えることがいかに危険かということを思い知らされたのが、『十六の話』を読んだ時の反省でした。
今日、久しぶりに井筒俊彦という名を目にして、改めてその時の反省を思い出したのでした。
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