7月31日の朝刊は次のような記事を一斉に報じた。
たとえば千葉日報の見出し。
「県09年度決算 税収大幅減も31億黒字化 借金、1人当たり1万7000円増」
たとえば日経新聞の見出し。
「一般会計決算 県、6年連続黒字 昨年度見通し 県債発行24%増」
あくまで見出しだけの情報ではあるが、黒字なのに借金増という腑に落ちない話である。
一方、私のところに県からFAXが届いた。
そのFAXは、重要と思われる部分は太黒文字となっているので、補足しながらその部分を抜き書きしてみる。
○歳入は1兆5876億円、歳出は1兆5802億円で、決算規模は5.3%拡大した。
○県税収入は13.1%減少したが、その一方で臨時財政対策債を含む地方交付税等は41.7%増加した。
○実質収支は31億円の黒字となった。
以上は、すべて同じ千葉県の2009年度決算についての情報である。
そこで県からのFAXをもとに、自治体独特の会計について謎解きをしたい。
第一に、収支が合わない問題である。
歳入1兆5876億円から歳出1兆5802億円を差し引けば74億円であり、31億円ではないではないかという疑問がわく。
これは、(歳入?歳出)を形式収支と言い、ここから翌年度へ財源として繰り越す金額を差し引くと実質収支になるためである。
逆から見ると、74億円?31億円=43億円が翌年度へ繰り越されたことが読み取れる。
第二に、なぜ黒字確保ができたかである。
これについては県税収入の大幅な落ち込み以上に地方交付税などが増えたからだと書かれている。
第三に、新聞が報じる借金増は、県のFAXのどこに書かれているのか?である。
二番目の○のところに臨時財政対策債という見なれない言葉がある。これが借金の正体だ。
この二番目の○を素直に読めば、税収は減ったが色々あって歳入は増えた(31億円の黒字)と読める。
実はこれこそが問題の本質なのである。
一般に、借金は「負債」であり、マイナスのものという感覚がある。
ところが自治体においては、県債や市債という借金は「収入」にカウントされるのである。
したがって、千葉県からのFAXはこういうことを言っているのである。
『税収は大幅に落ち込んだが、借金が増えて収入が増えて黒字になりました』
要するに、県債=収入という役所独特の感覚がないと実は読み取れない内容の話だったのである。
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