9月24日の読売新聞の八ツ場ダム中止に対する社説『公約至上主義には無理がある』の結論は、「中止の場合の財源は貴重な国民の税金であり、ダム完成より中止の方が余計に金がかかる。そうした損得勘定も考慮すべき(趣旨)」という内容だ。
9月23日の毎日新聞の社説『時代錯誤正す「象徴」に』では、どれくらいかかるかという費用の概算があげられている。
それによれば、完成の場合はあと約1400億円だという。ただし完成後の維持費に年間10億円弱かかるとのこと。
一方、中止の場合は、自治体負担金の返還で2000億円、生活再建関連事業770億円だという。
2000億+770億?1400億?500億(50年維持として)=870億
しかし、それでも毎日新聞は「八ツ場だけの損得を論じても意味がない」とばっさり切り捨てる。
870億円(かどうかは正確には分らないが)という国民の税金など毎日新聞社にはどうでもいい金額であり、ましてや地元住民の人生など論ずるに足らぬとでもいうのであろうか。
しかし、実はまだ見落とされている費用がある。
それは下流の都道府県や市区町村では水害対策のための堤防や河川の幅(断面積というのであろうか)を八ツ場ダムがあるものとして計算して整備しているという点である。
すなわち、もし八ツ場ダムがないのであれば、下流域の水害対策は抜本的な見直しを迫られ、最初の計画段階からやり直しとなる。
そのための費用は自治体が出すにせよ国が出すにせよ要するに国民の税金である。
八ツ場ダムは、民主党のマニフェストにも掲載されたり削除されたりと党内で真剣に議論されたふしがない。
にもかかわらず、まるで公共事業全般の見直しのための生贄のように問答無用で切り捨てられた。
毎日新聞は、それを『生贄』とは言わず『象徴』としたのであろう。
民主党は、八ツ場ダム中止を勝手に宣言してしまったが、たとえそうであっても中止した場合にはどのくらいの費用がかかるのかは明確に示してもらわねばならない。
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