東北地方太平洋沖地震」カテゴリーアーカイブ

千葉県のがれき処理

東日本大震災のがれき処理が進んでいません。
東北のがれきを東北だけで処理することは不可能ということで全国あげて処理しようとしています。
私たちも一日も早くがれき処理が進むように全国に呼び掛けています。
12月20日に神奈川県知事が受け入れ方針を明らかにしたと報じられています。東京や静岡はすでに受け入れ方針を決めています。
では千葉県はどうなのかということです。
本県は、本県自体が被災県です。
震災がれきの処理が必要だったのは29団体、約14万5000トンにのぼりました。それが11月末段階でようやく10団体で処理が終わり、残るは19団体です。大変なご苦労の中で関係する方々が来年3月末処理目指して努めているところです。
東北のがれき処理について、千葉県は受け入れないのかというお声をいただきますが、この状況ではなかなか受け入れ余力がないのが現実です。
東北の被災県を軽視しているわけでは決してありませんが、まずは県内の処理を早期に進めたいと思っています。
どうぞご理解いただきますようよろしくお願いいたします。
最後に一言。
地震に限らず、水害でも町の数か所に膨大な「がれき」が集められます。しかし、これは被災者にとってはかけがえのない宝物でもあります。このブログにおいても「がれき」という言葉を使ってしまいましたが、わかりやすさのための表現ですので、なにとぞご容赦ください。

千葉県と石油商業組合との協定

今朝の千葉日報、読売、東京の各新聞は『災害時に優先供給』との見出しで、千葉県と千葉県石油商業組合の協定締結を報じました。
実は、これは6月22日の定例会代表質問のなかで私が訴えたことなのです。
『今回の大震災では、県内石油精製所の火災や物流の滞りなどでガソリン不足、燃料不足が大きな問題となりました。その際、県は業界団体に燃料放出などを要請いたしましたが、そもそも石油販売団体等と災害協定を結ぶ中で優先的な提供を受けるような協定の締結をすべきと思うがどうか』
これに対して、石渡副知事は『早期の協定締結に向けて努力をしてまいります』と答弁しています。
千葉県は、4つの石油精製事業所を擁しています。コスモ石油、極東石油工業、出光興産、富士石油です。
これら4事業所の精製能力は、日産82.7万バーレルです。我が国全体が480万バーレルですから千葉県は6分の1以上の精製能力があるのです。
にもかかわらず、その千葉県で緊急自動車の運行にも苦労していたというのはやはり問題です。
今回は、石油商業組合との協定でしたが、これで終わりにするのではなく、今度は石油精製企業との災害協定締結へもう一段の努力を要請していこうとと思っています。

あるのかないのか鴨川の断層

今、私の手元に地震調査委員会の活断層による地震の長期評価一覧があります。
わが国周辺で発生する地震については大きく分けて二種類、すなわち活断層によるものと海溝型のものとあります。
同委員会は、3月11日の東北地方太平洋沖地震以後、5か所の活断層で地震発生確率が高まった可能性があるとしています。
その5か所とは、発生確率の高い順から『糸魚川-静岡構造線断層帯』、『立川断層帯』、『双葉断層』『三浦半島断層群』『阿寺断層帯』です。
千葉県に最も影響があると予想される『三浦半島断層群』においては、武山断層でM6.6程度の地震が起こる可能性は6~11%、衣笠・北武断層帯でM6.7程度の地震が起こる可能性は0~3%だそうです。
これらの確率をどう評価したらよいかはわかりませんが、たとえば1995年の兵庫県南部地震については30年以内の地震が起こる確率は0.02~8%ということが公表されていました。
8%の確率であっても発生するということは常に頭の中においておかねばなりません。
さて、私が気になっているのは、主要活断層帯のリストのなかにある110の活断層の29番目、『鴨川低地断層帯』です。
本当に鴨川に活断層があるのか?非常に気になります。
今、私が手にしている資料にはこう書かれています。
「鴨川低地断層帯、長期評価で予想した地震規模M7.2程度、地震発生確率30年以内・50年以内・100年以内すべて不明、平均活動間隔・最新活動時期ともに不明」
要するに何もわからないのですね。そして
「鴨川低地断層帯に関しては、活断層であるかどうかの確実な証拠に乏しく、活断層としての存在そのものについて疑問視した調査結果も報告されている。よって、今後、本断層帯の活動時期や活動性に関する確実な資料を得る必要がある。」
はたして安心してよいのやら安心してはいけないのやら本当に宙ぶらりんな心持なのです。

東日本大震災の建物被害について

名古屋大学大学院環境学研究科減災連携研究センター教授の勅使川原正臣先生のお話を伺いました。勅使川原先生は建築構造学の専門家です。
私は、まるで門外漢ですが、東日本大震災でRC造建築物がどういう被害を受けたのか非常にわかりやすく教えていただきました。
たとえば、玄関ドアの脇の壁が損傷している例が数多くみられます。その理由はなんなのか?
あるいは、外側の壁が損傷している場合、なぜ損傷している部分と損傷していない部分があるのか?といったことです。
被害には5つの特徴があるとのことです。
第一に、旧基準による設計の建物の被害は主に柱のせん断破壊であること。
第二に、公共建築物に多かったのは短柱のせん断破壊による軸力支持能力の喪失であること。
第三に、新耐震基準に基づき設計されたRC建築物には構造被害がほとんどみられないこと。
第四に、耐震補強された建築物の構造被害が一部にみられたこと。
第五に、非構造物の損傷が比較的多くみられたこと。
写真を見ると、素人目にはただ壊れているなと思うだけなのですが、解説していただくと、損傷している部分には損傷するべき理由がちゃんとあることがよくわかります。
しかし、お話を伺っていてやはり非常に難しい点が二つあることがわかりました。
一つは上記の第四のように、すでに建築された構造物に対する耐震補強の限界です。
これはどこまで頑丈にすればよいのか、どこまでコストをかければよいのかという、誰にも明確に答えを示せない難問に行き当たります。
もう一つは、建物を頑丈にすればするほど津波の圧力をうまく逃がしてやることが難しいという、耐震と津波対応の兼ね合いの難しさです。
いずれもどこかである一定の線を引いて妥協せざるをえません。してみると第三にあるようにとりあえず現時点では新耐震基準での不都合はなさそうという当たり前の結論に落ち着きます。

もう一度、3・11の発端の話

今日、東京大学弥生講堂一条ホールにて日本地球惑星科学連合の主催する『震災を振り返り、未来へつなぐ』という講演会があり、参加させていただきました。
日本地震学会の石川有三副会長のお話を伺って、確かにもう一度、3・11の発端を振り返ることも大事だなと思いました。
気象庁のホームページの報道資料をみると、まず3月29日の『平成23年東北地方太平洋沖地震以降の緊急地震速報(警報)の発表状況について』というお詫び(?)が目につきました。
これは「緊急地震速報が適切に発表できていない事例が生じており、」その原因について、①異なる場所でほぼ同時に発生した複数の地震を一つの地震として処理した②停電や通信回線の途絶によってデータ処理できる地震計が減少したというの要因をあげています。
そこで、もう一度3月11日16時発表の『平成23年3月11日14時46分頃の三陸沖地震について』を見てみます。
これは17ページのぺーパーですが、その11ページ目に『緊急地震速報の詳細』という第一報から第15報までの一覧表があります。
この表によれば、第1報は14時46分45.6秒に宮城県沖の深さ10キロメートルの海底でマグニチュード4.3の地震が起こったという検知結果になっています。
以下、第7報まで同じ場所で、第1報を起点にして、1.1秒後にM5.9、2.1秒後にM6.8、3.2秒後にM7.2、4.2秒後にM6.3、5.3秒後にM6.6、そして5.6秒後にM6.6の地震を検知しています。
さらに検証してみますと、当初はマグニチュード8.4としてましたが、それを8.8と変更したのが17時30分発表の第3報です。
ご存知のように最終的にはM9.0となるわけですが、8.8が9.0に修正されたのは3月13日12時55分発表の第15報です。
この15報にはこう書かれています。
「外国の地震観測データを用い、本震による震源域の破壊の進行の様子を調べたところ、通常より複雑なかたちで3つの巨大な破壊が連続して発生していることがわかりました。このため再解析した結果、地震の規模は、マグニチュード9.0であることが分かりました。」
考えてみれば、当たり前のことですが、大きい地震だからと言って、いきなり大きく震源域が破壊されるとは限りません。一番目はM4.3クラスの割れ方をして、その後に巨大な破壊があることもあるでしょう。
また、ここで指摘されているようにいくつかの破壊が連続して起こることもあるでしょう。
そういう割れ方まで考えると、「いついつ、どの程度大きさの地震が起こる」という、いわゆる予知はほとんど無理だろうと結論づけるのが常識のように思えてなりません。