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誤解増長する「社会保障費自然増」

昨日8月3日の日経新聞に『社会保障費「自然増」の謎』という興味深い記事がありました。
見出しの傍らに『5000億円?1兆円?』という数字が出ています。
社会保障費の自然増が『毎年1兆円』ということが常識のように語られているのを聞くと、私はいつも誤解を招く話だと思うのです。
今回の日経新聞は、囲み記事も載せて『給付費全体は2兆円増』としていて非常に良心的です。
そうなのです。給付費全体は2~3兆円なのであって、そのうち政府予算の歳出部分が1兆円だというのすぎないのです。
ただ単に、自然増1兆円と見てしまうと問題の本質を見誤ります。
政府は、この歳出部分の自然増を5000億円抑えようとしているのであって、仮にそれが実現できたからと言って、社会保障の総額が減るとは限らないという認識が大事なのです。
この認識がないと議会での審議がまるでかみ合わなくなることを議員は自覚すべきでしょう。

県がんセンター改善策、道半ば

今日の朝刊各紙は、県立がんセンターの第三者検証委員会による改善策を報じました。
その内容は、『高度な手術の導入について協議する「未実証医療審査委員会」を全国で初めて立ち上げる』『腹腔鏡下手術は、すべての映像を3カ月間保管』(千葉日報)などとされています。
昨日も触れましたが、すでに9年前から予算委員会で、私は公立病院においてはすべての手術のビデオ撮影が必要と訴えていました。
しかし、「全例を記録する体制とするためには設備の整備も必要」という答弁で「検討する」にとどまっていました。
今回の改善策では、腹腔鏡下手術に限って映像を記録保管をするとのことですので、私の主張がようやく半歩実現したことになります。
しかし、すでに当時とは違い記録媒体もビデオですらなく、安価な大容量メモリがあるのですから改めてすべての手術の映像記録の保管を求めたいと思います。
私は、中途半端な改善策であってはならないと思うのです。

名医を疑え

市立病院今朝の日経新聞「医出づる国」は『名医を疑え』でした。
千葉県がんセンターの死亡事故について取り上げ『検証委員会による報告書からは、本人の過信や周囲がモノを言えない雰囲気が浮かぶ。元同僚は「名声が高く、病院も止めることができなかったのではないか」と話す』とされています。
平成18年3月17日の予算委で、私は東京医科大学附属病院の医療過誤を事例に、仮に同様の事態が県立病院で起こったときの対処を質しました。
医科大では、院長への報告がありませんでした。それは当事者に医療過誤だという認識がなかったからです。
そこで、私は「医療過誤に関係なく死亡例は検証されるべき」「手術が予定より長引いた場合、輸血量が予定よりかなり多かった場合は報告されるべき」と主張しました。
病院局長は、がんセンターではすべての死亡例を検証しているのではないことを認めましたが、手術時間や輸血量は報告されているとの答弁でした。
この時点では何か問題があったわけではないので、私もこの程度の質問で終えてしまいましたが、今になってみれば、すべての死亡例の検証や、手術時間や輸血量についても問題意識を持った確認をもっと強く要望すべきだったと思います。
ただ、医師を責めるだけで問題の解決はなく、すべての医療スタッフが力を発揮できるような環境づくりもさらに必要だと思います。