財政」カテゴリーアーカイブ

地方交付税をめぐるモラルハザード

20161029%e5%9c%b0%e6%96%b9%e4%ba%a4%e4%bb%98%e7%a8%8e%e8%a8%98%e4%ba%8b10月28日の朝刊各紙は、財政審議会での地方交付税に関する議論を報じました。
読売新聞は『地方財政計画見積もり「過大」』、朝日新聞は『地方交付税抑制求める』、毎日新聞は『地方交付税綱引き』との見出しでした。日経新聞は、財政審の前の26日に『計画算定見直し促す』と報じていましたので、私も各紙を注目していました。
この問題を地方の立場から見ると、そもそも地方は地方交付税を全額受け取っていません。
また、地財計画によって予算を見積り、赤字にならないようにしますので通常黒字になります。たとえば1団体が3億円の黒字なら全国で8000億円ほどになります。これを「黒字が大きいから交付税を減らします」となれば、自治体は黒字化意欲を失ってしまうでしょう。
ましてや今後、どの自治体も高齢化により民生費の増大が見込まれ、さらに施設やインフラの老朽化により更新費用をねん出しなければならないのですから自治体も大変です。来年の地財計画の決着は本当に心配です。

来年度予算編成へ要望書提出

20161004%e4%ba%88%e7%ae%97%e8%a6%81%e6%9c%9b10月4日、森田健作知事に公明党千葉県議会議員団として『2017年度 予算要望書』を提出しました。
今回は10の政策分野に196項目の施策となりました。
実は、来年3月には県知事選が予定されています。したがって、来年度の当初予算は、「骨格予算」と言って、経常経費しか編成しない慣例になっています。いわゆる政策的なもの、すなわち「投資的経費」は新しい知事が決めるものという考えです。
しかしながら、それでは予算要望になりませんので、私たちはあくまでも来年度の1年間を通した要望としました。
全文は近いうちにホームページにアップいたしますので是非ご覧ください。

富津市経営改革に関する答申書

今朝の朝日新聞の千葉版に富津市財政の記事が掲載されていました。
行財政改革を進めるために市長が諮問した「経営改革会議」についての報道です。
記事には、千葉大学院の大塚成男教授の「他市も富津市と同じような状況になりつつある」との発言がありました。
まさに、全国の自治体にとって、増え続ける民生費とどうしても維持補修が必要な土木費の財源確保は共通の財政課題です。
たとえば民生費について、2006年と2016年とを決算ベースで比較すると、千葉県は1119億円から2513億円へ、松戸市は344億円から620億円へとほぼ倍額になっています。その一方で、維持補修が必要な土木費は、千葉県では1878億円から1055億円へ大きく減額しています。
将来にわたって増額が避けられない費目があれば、その分、別の費目の予算を削らなければなりません。
この「富津市経営改革に関する答申書」は、少なくとも県下全議員が必読だと思います。

GDPのあやふやさ

8月9日の日経新聞コラム「大機小機」の『GDPに30兆円のズレ』はびっくりでした。
「日銀の2人の研究員が1年半かけて調べ」たところ、「政府の公式統計より本当のGDPはなんと30兆円程度多いかもしれない」とのこと。
GDPすなわち国内総生産は、国内で1年間に生産された価値の総額です。
生産物は必ず誰かのものになります。たとえば給料であったり企業の利潤であったり、賃貸料であったりと様々なところへ分配されていきます。
ところが、このコラムによれば、「分配」の項目ごとの計算が行われていないというので私はびっくりしたのです。
経企庁の時代から雇用者所得、営業余剰など数値が掲載されていましたが、一体なんだったのか?
「その他の調整」という項目がありますが、ここで調整していた?
こうした基本的データが間違っていれば、経済政策や税制改正は成り立ちません。
これは今後要注目の情報だと思った次第です。

誰がする?交付税措置

「臨財債の返済は本当に出来るのか?」自治体議員はやむにやまれず質問します。
これに対する財政当局の典型的な答えは「国が交付税措置をしますので大丈夫です」というものです。
議員は反論します「国であれ無い袖は振れない。臨財債発行は国を当てにすべきではない」と。

今の臨財債は、国と地方で借金をして発行しています。すでに臨財債の返済にも臨財債を発行している現実があります。
こうした背景を考えれば、臨財債返済に不安を感じない人はいないでしょう。借金の将来へのつけ回しはいつまでもできるものではありません。
ここに全く異なる第3の回答もあります。
「自分の金でもないのに交付税措置するとはナニ様ですか!」
そうなのです。そもそも地方交付税は地方の財源であって、国のものではありません。
自治体財政担当者は、(実際に財政を破たんさせつつある人たちに)一度は一喝したいのではないかと勝手に想像をたくましくしています。