施策をやめるとき(第217回)

原油価格高騰は止まるところを知らない。
その本当の原因はよく分からないが、要するにファンドの投機でもあり実需でもあり産油国の生産調整でもあるということなのだろう。
さて、そうしたことから一昨日、漁業者が一斉休漁をした。また言うまでもなくかねてより運送業者は経営難にあえいでいる。
私も政治家の一人として何とかしなければならないと素直に思う。いてもたってもいられない気持ちになる。
私ですらそうなのだから、支持率が低迷している総理も同じ思いであるはずだ。
もし仮に、これほど巨額の赤字を抱えておらず、財政に十分な余裕があれば、とっくの昔に強力な財政出動策を講じていることだろう。
つまり、現時点でもし赤字財政問題が存在していなければ、原油価格高騰に対する国民生活防衛策によって再び財政は赤字となる。
この種の政策に反対する政党は存在し得ない。
このように、今回のような原油高騰がなかったとしても、将来必ずおこる景気後退時には国民は財政出動を要求し、政府は実行するものなのである。
このことは今さら言うまでもなく自明のことであり、民主主義国家の宿命とも言える。
中国のようにこれから急速に経済発展するであろう国がいくつも現れ始めた。
それらの国の人たちはまだモーターリゼーションの洗礼を受けていない。
それらの国においても人類最大のベストセラー商品である自動車はいずれ爆発的に売れ、現在の数十倍の人が自動車を持つことになろう。
そうなればガソリン消費量がどれほど伸びるか想像もつかない。
原油高騰の主要因の一つである実需の驚異的伸びは時間の問題といってよい。
ましてや、ファンドが手を引いたとしても、原油産出コストは時代を経れば経るほどかさむ。
実需と産出コストの二つのという要因だけを見ても、長期的トレンドとしての原油価格下落はあまり期待できない。
政策論として導き出される結論は、原油価格高騰から国民生活を守る施策を講じたとき、最も問題になるのはそれをいつやめるかであろう。
財政出動の前にサンセット方式のように終期をビルト・インさせておかないと、今度は施策を打ち切ったときに国民からさらなる批判を受けかねない。


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