福祉は応能負担で(第253回)

2月17日の公明新聞に『自立支援法見直し「応能負担」に評価』との記事があった。
これは障がい者が福祉サービスを利用する際の負担を、所得に応じて上限額を設定する「応能負担」へ改めるという方針に対して、障がい者団体が高く評価したという内容の記事であった。
自立支援法の定率1割負担は非常に評判が悪かった。
2007年4月からは、利用したサービス量にかかわらず月額負担上限額を4分の1するなど大幅に下げたものの対症療法だったことは否めない。
私は、今回の見直しのように福祉は応能負担であるべきと思う。
障害の程度や年齢がどうあれ、負担する余裕のある人はその余裕の度合いに応じて負担をしてもらう。
逆に障害の程度や年齢に関係なく、負担する余裕の乏しい人には負担を求めない。
これが互助の精神であろうし、負担をすることについて損をしたと言う考えを持つ人はほとんどいないと思うのである。
さらに実は、もう一つ考えねばならない問題もある。
社会保険方式では、納付した人は納付した分だけの給付があり、納付していない人には給付がないという公平の原則がある。
これは納付の自由が確保されている限りにおいては正しいのだが、納付しない自由が認められていない強制加入制度においては合理的ではなくなってしまうのだ。
たとえば国民健康保険、たとえば介護保険、これらはどれほど所得が低くても、生活保護でない限り負担ゼロとはならない。
すると、負担に耐えられない家計は生活保護を選ぼうという望ましくない傾向になる。
さらには給付と負担のバランスを取るために仮に保険料(負担)を上げようと思っても、低所得者の負担が増えるため制度から零れ落ちてしまう人が増えてしまう。したがって、現実問題として保険料を上げることができない。
無理に上げると制度そのものを壊しかねない危険性を内在しているのだ。
したがって強制加入の場合では、せめて年金制度のような免除申請を設けるべきなのである。
今回の自立支援法の見直しが福祉分野の応能負担化につながっていけばと思うのである。


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