先日、俳句結社『雑草』副主宰の千葉先生から「一度読んでご覧なさい」と、『日本の七十二候を楽しむ』(東邦出版)という書籍を賜りました。
早速開いてみると、思わずため息が出るほど美しい日本語なのです。
この本の最初に、幕末の国学者である橘曙覧(たちばなのあけみ)の歌が出てきます。
『たのしみは朝おきいでて昨日まで無りし花の咲ける見る時』
まず、この段階から頭が下がる思いです。
さて、七十二候というのは、まず1年が春夏秋冬の4つに分かれます。それをそれぞれ6つに分けると二十四節気となります。それをさらに「初候」「次候」「末候」の3つに分けると4×6×3で七十二侯になるというわけです。こういう私の理解は多分間違っているのでしょうが計算はそうなります。
たとえば「春」は「立春」「雨水」「啓蟄」「春分」「清明」「穀雨」の6つに分かれます。
そして、「立春」の初候は『東風凍を解く(とうふうこおりをとく)』というのです。
なんと美しい言葉かと思います。暖かい風が吹いて氷を解かす。
ちなみに次候はパソコンに漢字がないのでひらがな混じりで書きますが『黄鶯(うぐいす)なく』、末候は『魚氷に上る(うおこおりにあがる)』です。暖かくなって湖や川の氷が解け魚が跳ね上がるというのですね。
あらためて日本語の美しさを認識し、未来永劫に守っていかねばならないと思った次第です。
最初に紹介された橘曙覧の歌は、『独楽吟』の中の一首です。
これは「たのしみは・・・」から始まって「・・・とき」で終わる形式の和歌になっています。
私の心境にピッタリな歌は『たのしみは百日(ももか)ひねれど成らぬ歌のふとおもしろく出(い)できぬる時』です。
私の場合は、歌ではなく句ですが、なかなか作れなくて困っています。やっと句ができた時はまさに「たのしみは・・・」の心境になります。これからは美しい日本語を少しでも意識してまいりたいと思います。
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