昔、機関委任事務。今、臨財債。

地方自治における『治外法権』というものがありました。その名は、「機関委任事務」。
地方自治体の行っている業務であるにもかかわらず、当該地方議会では監視できないのです。なぜなら、それは国に頼まれてやっているから。しかも、ちゃんとやらないと首長の責任も問われるのです。
では、国会が監視しているかというと、おそらく大半の国会議員もそんな業務のことを頭の片隅にもおいていなかっただろうと私は確信しています。
国会の監視下にもなく、地方議会の監視下にもない悪評高い業務がようやく法的に解消されたかと思いきや、今度は『臨時財政対策債』です。
こんなバカげた話がまかり通るのですから、この国は本当に危ういと思います。
地方議員の立場からすれば、首長に臨財債の発行責任を負わせるのは無理があります。
本来は、きちんと国が出すべき金額を出せないからを発行せざるを得ないのであって、首長にしてみれば「好きで発行しているのではない」というほかありません。
では、国会で臨時財政対策債の発行責任はきちんと糺されているのでしょうか。誰も責任を追及されているようには見えません。
つまり、ここに新たな治外法権が誕生したのです。どうなってしまっているのか、まったく情けない話ではあります。
昨日の日経新聞に『銀行融資 自治体頼み』という財政融資資金の繰り上げ償還についての記事が出ていました。
国と地方の関係は、形の上での敵対関係もありますが、基本的には持ちつ持たれつであり、地方は国に頼り切っているように見えます。見ていて何とも表現のしようがない粘着度があります。
しかし、これからの本当に厳しい厳しい財政状況を慮れば、両者はアベルとカインになる可能性は十分にあります。
もちろん国の方がカインだとは思いますが、もしかしたらカインのマークをつける地方が現れないとも限りません。


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