自浄能力なき政権党(第341回)

民主党・小沢一郎幹事長の秘書を務めた石川智裕衆議院議員が逮捕された。
小沢氏の側近だった池田光智私設秘書が逮捕され、大久保隆規公設第一秘書が逮捕された。
私の考えでは、お金という非常に大事でデリケートな扱いを要するものをボスの知らないうちに秘書が勝手に処理することはありえない。
まして、ぼんやりしたボスではない。
自分の意にそわぬものを側近にすることが考えにくい小沢氏がボスなのである。
当然、小沢氏に疑惑の目が行く。
しかし、小沢氏は検察の事情聴取に応じない。
政権党の事実上のトップであり、事実上の最高権力者の小沢氏はまさに公人中の公人だ。
その人が捜査協力を拒むなどあってはならないことである。
そして、とうとうこれまで指導してきた側近が次々と逮捕されたのである。
率先して自らの潔癖を積極的に晴らすべく努力を尽くす。これが権力を持つものの務めであろう。
今回、信じられなかったのは、民主党の中からそんな小沢氏の対応を批判する声がなかったことだ。
国会審議ではあれほど舌鋒鋭く批判を繰り返してきた民主党議員はどこに消えてしまったのか?
要するに民主党もやはり自浄能力ゼロ だったのである。
そんな政党が衆議院で圧倒的多数を占めている。
情けなさを通り越して、恐ろしささえ覚える。
小沢氏の不動産にかかわる疑惑は以前からあった。
小沢氏の政治資金管理団体「陸山会」は、94年5月には元赤坂のマンションを取得している。
これを皮切りに、赤坂や南青山に5つのマンション、仙台や盛岡などに3つの事務所、そして世田谷区深沢の秘書寮(平成17年1月取得。購入価格3億9785億円)など12の不動産を取得し、近年そのうち二つを売却している。
これら資産の購入資金に政党助成金というわれわれの税金は使われていなかったのか?ゼネコンからのヤミ献金は使われていなかったのか?小沢氏は国民の前に明確に説明する責任がある。
にもかかわらず、小沢氏は説明をせず、民主党さらには政権を担う政党も小沢氏の対応を咎めることもない。
あまりにも国民を馬鹿にしているとしか思えない。
1月16日の民主党大会では小沢氏の幹事長は続投だという。
やはり政権交代によって政界浄化がなされるという単純な構造ではなかったわけである。清潔な政治の実現への道は途方もなく険しい。


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