金星の太陽面通過

中学校の理科だったか、高校の物理だったか、初めてニュートン力学の初歩を学んだ時の驚きは今でも覚えています。
「重力加速度に時間の二乗をかけると距離になる」というシンプルかつエレガントな数式です。
当時の私には、ニュートン力学のあれこれは実に美しいものに見えました。しかし、やがてそこに綻びが生じます。
太陽の近くを公転する水星の軌道が、ニュートン力学での計算と実際の観測とで微妙にずれるというのです。
そのずれをアインシュタインの有名な一般相対性理論を使って計算するとピタッと合うというのです。
つまり、ニュートン力学は弱い重力の場では成立するものの、太陽のような強い重力の働く場では成立しないことが判明しました。
そんなわけのわからない話にどんどん進んで行って、小学生のころに将来は物理学者になろうと(ぼんやりと)決めていた私は、その夢を断念したのでした。
空間と言うのはスポンジみたいな柔らかなものだそうです。
スポンジの上に鉄の球を置くと凹みます。その近くにもう一つ鉄の球を置くと二つの鉄球は近づいて行ってぶつかります。
この二つの球が寄っていくのが重力だというのです。このスポンジ理論はイメージとしては理解できます。
しかしまあ、そもそも空間がスポンジみたいなものだという発想に至った時、これをどうやって他人に理解してもらうか困ったでしょうね。今でも納得できない人がたくさんいるでしょう。
金星の太陽面通過は見ることができませんでしたが、金環日食ですとか月食ですとか空を見上げるたびに、「これがスポンジなのかあ」と今でも思ったりします。


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