財務省のホームページで主計局の『我が国の財政事情』を眺めていると色々なことが想起される。
たとえば5ページの『国及び地方の長期債務』には平成22年度末の長期債務残高は国が663兆円程度、地方が200兆円程度の計862兆円程度とある。
ちょっと気になるのは、『程度』という表現で厳密なところはよくわからないという点。
これは多分、国債には短期、長期さまざまあり、たとえば10年ものの国債がどれだけ発行されているかは分かるが、これらの返済については借り換え借り換えを繰り返しながらばらばらにして60年くらいかけて返すことになっているの厳密な計算が困難なのだろうと思われる。
(もっとも赤字国債の償還に60年かける理屈はわからない。多分、自民税調のお偉いさんがその場のノリで決めたのだろう)
もう一つの気になった点は、翌年度借換のための前倒債発行額を除くと、国が651兆円程度だとされている点。
つまり、翌年度に国債を借り換えるためと称して、本年度に前倒しして発行している国債というのがあって、それが12兆円もあるというのだ。
この理由については想像もつかない。
さて、国債というものを買ったことのない(正確には買う余裕もない)私が金利がどのくらいかも知らずに書くのも恥ずかしいが・・・
この「我が国の財政事情」の6ページに利払いと金利の推移というグラフがある。
これによれば平成22年度は637兆円の国債に対して利払い費が9.8兆円だという。
単純計算では金利は1.538%ということになる。
つまり、金利が1%上昇するごとに利払いは6.37兆円増えてゆく。
2%上昇でも金利は3.538%なので取り立てて高利というわけではない。
そしてこの場合は12兆7400億円利払いが増える。
(表組み)
年度 公債残高(兆円) 利払費(兆円)
17 527 7.0
18 532 7.0
19 541 7.4
20 546 7.6
21 600 8.4
22 637 9.8
一方、平成22年度一般会計歳出のうち政府がある程度恣意的に使えるものといえば、「公共事業」5.77兆円、「文教及び科学振興費」5.59兆円、「その他」10.04兆円くらいである。仮に防衛費を含めても合計26兆円ほどだ。
いかに何でもこれらの予算をいきなり半分にするのは乱暴な話ではあるが、国債の金利が2%上昇するだけで実際にそうせざるを得ない状況に追い込まれることになる。
金利が上がるという何ということも無いちょっとした出来事によって国や地方の予算に激震が走るのである。
政治的に実行できないことが金利によって実現したとしたら・・・・・・これは本当に皮肉な話であり、あまりにも由々しき事態である。
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