いきなり消費税(第385回)

菅内閣が誕生して、いきなり「消費税10%」発言ではびっくりしないほうがおかしい。
鳩山前総理は、何でもかんでも『反自公政権』路線で支持率を落としたが、菅総理は何でもかんでも『反鳩山』のようだ。
鳩山さんは「4年間は消費税はあげない」と明言していたのだから。
まず何よりも10%の根拠が分からない。
「財政赤字が大変だから」というのなら、10%程度では焼け石に水である。
そもそも増税で赤字解消を図るべきなのかという議論すらしていない。
単純に10%なら国民の反発を買うまいという程度の考えのように見える。
民主党政権のこれまでの総括もなく消費税増税を総理が言い出すなど言語道断である。
まず、消費税がわが国社会にとって本当に望ましい税なのかどうかを議論すべきであろう。
今後のわが国は言うまでもなく高齢社会である。
高齢社会というのは本質的に、所得格差の拡大が著しい社会であり、資産格差の著しい社会である。
若いころは、みな所得格差も資産格差もほとんどない。
それが年を経るごとに格差が拡大するようになる。
一方、消費税というのは大勢の人に万遍なく負担してもらおうという税金だ。
格差のない社会であれば非常に公平な税である。
ところが格差が生じている場合、どうしても所得の低い人ほど負担が辛く、痛税感が強くなる税なのだ。
したがって、実は高齢社会にはあまりなじまない税金なのである。
そういう議論を抜きにして、いきなり消費税増税発言は乱暴である。
ましてや勝手にばらまいておいて「足りなくなりましたので増税です」ではあまりに国民を馬鹿にしている。
国の予算207兆円の無駄を省き、1割でもカットすれば20兆円くらいは簡単にひねり出せると大見えを切っていたのは民主党なのである。
そのツケを国民に回されてはたまらない。


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