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鬼怒川氾濫

20150910_123937とうとう恐れていたことが起こってしまいました。鬼怒川の堤防決壊です。
1986年8月に台風10号が関東地方を直撃し小貝川が決壊した際、100年に1度の水害と言われました。それが30年足らずのうちに再び起こったのです。
鬼怒川と小貝川は並行して流れていますので利根川水系の脆弱さが出てしまったということです。
この間、私は特に治水面でずっと水害問題を取り上げてきました。八ツ場ダムが必要だという立場です。
ところが、共産党や社会党系の人たちは八ツ場ダム建設反対を繰り返し繰り返し主張していました。
例えば共産党は『治水の面でも、八ツ場ダムの効果には疑問が出されています。国の利根川水系河川整備基本方針では、八斗島の基準地点での基本高水流量を毎秒2万2,000トンとしていますが、これは1947年のカスリーン台風のときの推定流量を前提にしたものです。しかし、実際にはこの60年間、想定の半分以下、毎秒1万トンを超えたものが1949年にわずか1度あるだけです。毎秒2万2,000トンとは余りにも過大な想定ではありませんか。』という根拠です。
しかし、雨の降り方が常にカスリーン台風のパターンのはずがありません。また、想定以上だから対処しなくていいという考えに私はくみできません。
そして、実際に堤防決壊は起こり、多くの人たちの命と財産を奪っていったのです。
奇しくも今日の新聞各紙に、八ツ場ダム建設差し止めを訴えていた住民側が最高裁判決で敗訴したと報じられていました。
災害対策は、現実を直視しなければならないのだとあらためて思うのです。

火山のリスクをどう見るか?

asokakouこのところ列島は北から南まで火山活動が活発です。
これまでが静かすぎたので、今が普通だという人もいます。しかし、そう言われても安心感が増すものではありません。
火山学者の早川由起夫氏が、火山リスクと交通事故リスクを比較されていたことがあります。
詳細は不明ですが、私の手元にその表があります。
それによると、最も火山リスクの高いのが鹿児島県の265、以下、静岡220、北海道169、群馬157、秋田148、神奈川115と続きます。千葉県含め38府県はリスク0でした。
この表の「みそ」は、交通事故との比較です。
わが千葉県の交通事故リスクは182。愛知204、神奈川185に次いで全国ワースト3です。
千葉県の数値を火山のリスクで見れば静岡と北海道の間です。つまり「火山リスクだけ見ていても安全安心にはつながりませんよ」ということを言いたい表なのでしょう。
私たちも安全安心に全方位を注視してまいりたいと思います。

噴火速報に頼らない登山を

冬富士気象庁は『4日午後2時から、24時間態勢で監視している全国47の火山を対象に「噴火速報」の運用』(8月5日・日経新聞)を始めました。
この47座のうち、百名山は21、二百名山6、三百名山2ですから、六割強がよく登られている山ということになります。(ちなみに、火山110座では、百名山32、二百名山9、三百名山4)
しかし、実際には登山対象になりそうもない火山が含まれていますので、実感としてはよく登られている山の8割が火山という感じです。
さて噴火速報も、登山者側が噴火リスクを認識していないと、役に立たないばかりか苦情の対象になりかねません。
たとえば、金時山では自衛隊の演習による雷鳴に似た音を聞きますし、武甲山の発破による揺れは相当なものです。
結局、そうした山ごとの知識を得たうえで、登山者が五感を研ぎ澄まして歩くことが大原則であり、その上ではじめて噴火速報が役立つということなのかと思います。

千葉県に火山はないのですが

口永良部島の噴火が大きなニュースになっています。
避難場所が限られる離島は本当に要注意です。もっとも火山のある山岳地帯は、箱根ですら避難しにくい地形ではあります。
さて、M9という巨大地震後は例外なく火山が噴火し、しかも、ほとんどのケースで複数の火山で噴火が起こっています。
日本には火山帯が二つあって、昨年9月に大きな噴火被害を出した御嶽山は東日本火山帯、口永良部島は西日本火山帯です。つまり、二つの系統の火山フロントで活動が活発化していることになります。
現代は観測装置も発達しているので安全という見方がありますが、いくら精度の高い観測値があったとしても、噴火の切迫性を比較する過去のデータがありません。また、噴火の態様が毎回同じというものでもありません。つまり、気象庁の発表する噴火警戒レベルも決して鵜呑みにできないのです。
千葉に火山はありませんが、火山国に住む以上は常に関心を持って減災に知恵を絞らねばと思います。

台風への備え

幸いなことに、台風7号は大きな被害もなく遠ざかっています。
5月半ばで、すでに5号ですから今年は水害が懸念されます。
近年の都市水害というと、2000年の東海豪雨が思い出されます。近代都市で20カ所もの 破堤には驚かされました。
特に、これまでずっと国管理の庄内川が破堤せず、県管理の新川が破堤したことが気になっていました。
私は予算投入の差かと思っていましたが、名大の田代喬先生から興味深い話を伺いました。
庄内川は洗堰によって遊水池に水が振り分けられますが、その水の行き先は新川だと言うのです。つまり、庄内川を守るために新川が犠牲になったと言うのです。私が思っていたような単純な話ではなかったのです。
これから列島は梅雨入りします。万全を期すことは当然としても、災害のないことを祈るばかりです。