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東京湾を津波が襲ったら

6月22日の千葉県議会代表質問で16項目の質問をしました。
その一つが、東京湾の津波対策についてです。
以下、その内容を書いてみたいと思います。

『津波には、大きく分けて3つの形体があり、その一つが波状段波であります。
これは、津波が自ら勝手に成長し、幾つもの段をつくりながら高さを増して行きます。
特定の湾内や河川を遡るときに見られる非常に嫌なパターンですが、今回の東日本大震災においても、東京湾奥の多摩川において、この波状段波が遡っていくのを、私もユーチューブの映像で確認しました。
仮に、東京湾に津波が来た場合、まず考えなければならないのは、津波火災であります。
1933年の昭和三陸津波での大船渡や釜石の例、1946年の昭和南海津波での高知県中村の例、記憶に新しい所では1993年の北海道南西沖地震での奥尻島の、あの凄まじい火災など、津波は火災につながることの多い災害であります。
今回の大震災においても1都10県で324件の火災が発生いたしました。
船の重油から火災が発生し、それが町に燃え広がった気仙沼や、いわき市の住宅街の火災など、映像をご覧になった方も多いことと思います。
仮に、津波火災が本県臨海部で起こるとすれば、石油コンビナートの損傷、被災船舶からの燃料漏出、高温反応炉の浸水による爆発、冷却すべき化学物資が停電によって常温発火、そして家庭からの出火といった原因が想定されます。
あの東北の映像を見れば、流された船舶が重工業地帯のパイプ群を破壊することは十分考えられます。
本県でも津波ではありませんでしたが、市原市のコスモ石油千葉製油所の高圧ガスタンクから出火し、隣接のタンクに延焼して、断続的に爆発する事故がありました。
そこでお伺いいたします。
第一に、スロッシングによって油が溢れる可能性のあるタンクは現在どのくらいあるのか?
揺れの想定を見直して、調査をする考えはあるか?
第二に、スロッシングによる火災への対策はどこまで進んでいるのか?
第三に、地震ではなく津波による火災についてはどういう対策を考えているのか?
第四に、臨海部の工業地帯の石油化学事業者などへ有害物質流出対策の立案を指導すべきと思うがどうか?
第五に、今回の大震災では、県内石油精製所の火災や物流の滞りなどでガソリン不足、燃料不足が大きな問題になりました。
その際、県は業界団体に燃料放出などを要請いたしましたが、そもそも石油販売団体等と災害協定を結ぶ中で、優先的な提供を受けるような協定の締結をすべきと思うがどうか。』

以上、こんな質問をいたしました。

九十九里浜をどう守るか

津波が九十九里浜を襲った場合、どういうことが起こるのか?
リアス式海岸ではない、どこまでも続く砂浜、平坦な地形。そこに津波が来るとどうなるのかという答えが仙台市若林区の津波被害だったと思います。
私は、会派の同僚議員とともに、若林区の荒浜新という住宅地を訪ねました。
この荒浜の平坦な田園地帯を、高さ10メートルほどの津波が猛スピードで襲い、仙台東部道路まで一気に押し寄せました。
もしここで自分が津波に襲われたら絶対に助からないと思いました。
あたりに鉄筋の建物がありませんし、そもそも4階建て以上の建物もありません。
そして、西側の仙台東部道路までの距離、2キロ半はずっと平坦な地形です。
津波から逃げ切れるはずがありません。
海岸に立つと荒浜の海岸線は直線であることがわかります。
一方、本県の九十九里浜は弓の形に湾曲しておりますので、津波が来るとエッジ波が発生する恐れがあります。
エッジ波は、津波が沖の方向に戻らず、再び沿岸に向かうため、繰り返し海岸が襲われます。つまり、九十九里は、仙台の荒浜よりもさらに不利な地形になっています。
とは言え、美しい海岸線の九十九里浜に防波堤はつくれないでしょう。
九十九里浜は、荒浜同様に高台はありませんので、海岸地域に住む人たち、海水浴客やサーファーを守る方法は、鉄筋でかつ高さのある構造物、いわゆる避難タワーをつくるしかありません。
おのずとハードの面での対策は限られます。
予算も限られているのですが、実は私たちに残された時間も限られていると思えてならないのです。
これから徹底的な調査を行う中で、より有効なハード面での対策を科学的合理的に行ってほしいと思います。

今後の県税収入は?

千葉県議会6月補正予算案の説明に「9月以降は大幅な財源不足が予想される」とあります。
東日本大震災被災県の千葉県も県民生活を守るためのさまざまな事業計画を立てました。その一つ一つが大事な事業です。
しかし、その一方で県税収入の大幅減が予想されます。
100億円ではきかないと思います。
そこで、千葉県内に本社を持つ上場企業の業績見通しを一社一社調べてみました。
すると、震災前には業績悪化が予想された企業は31社中5社でした。
ところが、震災後になると18社が悪化、そのうち半数の9社は単なる「減益」ではなく「大幅減益」が予想されます。
これに「横ばい」の企業を合わせると、実に7割の企業が業績が「明るくない」見通しです。
市町村の企業関係の税源は固定資産税なのでそれほど変動はありませんが、県は企業業績にかなり影響を受けます。
上場企業だけを見て判断はできませんが、それにしても相当厳しいと言わざるをえません。
歳入の見込みが出るのは本格的な夏のころではありますが、不要不急の事業はとりあえず見合わせる工夫が必要です。
これを機に、さらに無駄はないか、生きた予算の使われ方か、しっかりと見ていきたいと思います。

防災ガラパゴス論

6月11日の朝日新聞夕刊に厳しい記事がでていました。
『津波で水没 米国式裏目』という見出しです。
記事では「東京電力福島第一原発が40年前、竜巻やハリケーンに備えて非常用発電機を地下に置く「米国式設計」をそのまま採用したため、事故の被害が大きくなったことが関係者の証言でわかった。」というのです。
この記事が事実かどうかはわかりませんが、40年前であればさもありなんと言う気もします。
すると、交通混雑で間に合わなかったという説明だった電源車も、もしかしたら電圧や周波数も米国方式で使えなかったというのが真実だったのかも知れません。
思い当たることがもう一つあります。
京葉工業地帯を有する千葉県では石油コンビナートなどが火災を起こした時の対処の訓練を行います。
その際、泡放射の車を出すのですが、それが本当に役にたつのかという疑問です。
東日本大震災で、震源から相当離れているにもかかわらず、東京湾岸はひどい液状化被害を受けました。
道路は波打っていますし、震源によっては津波の恐れもあります。
そんな状況下で泡放射の車を出すことが可能なのか?と思うのです。
この泡放射砲の車も所詮欧米の発想です。
地震大国、津波大国というわが国の特性を真正面からとらえて、欧米の技術を超えるわが国自身の防災技術を磨かねばなりません。
防災技術は、それこそガラパゴスこそべストと思うのです。

酷すぎる現実(東北にて)

東北から帰ってきました。
ただただ何もないのです。
人がいて、家があり、町があった場所に何もない荒野が広がっているのです。
海に沿ったすべての集落では例外なく津波が襲ってきました。
ここだけは助かっているというところがないのです。
最後に仙台市若林区の住宅地に伺いました。
新しい住宅地で立派な家々が建ち並んでいたことでしょう。
仮にここに今、津波が来たとしたら自分はどうするだろうと考えました。
どこまでも平地です。
まず間違いなく津波にのまれていたことでしょう。
この状況で助かるはずがありません。
仙台東部道路まで2キロ以上あります。
8メートルの波が来たとしたら2階にいても助かりません。
今ならばどういう構造物があればよいかはわかります。
今ならば。