東北地方太平洋沖地震」カテゴリーアーカイブ

どうだったのか?東京湾の津波

7月28日の千葉県議会『東日本大震災復旧・復興対策特別委員会協議会』において、東京大学地震研究所の佐竹健治教授からレクチャーを受けました。
そのなかで一番注目したのは東京湾内津波合同調査グループの『千葉県の津波の高さ』のデータでした。
今回の大震災において、千葉県で最も津波が高かったのは、やはり最も被害を受けた旭市飯岡の7.6メートルでした。
飯岡から南に下った九十九里浜の中間点である片貝(九十九里町)が2.2メートル、九十九里浜が終わった太東(山武市)では4.2メートルです。
レクチャー後に、私は「九十九里にはエッジ波が発生していたのでしょうか?」と質問しましたが、「一部発生していた」とのことです。
飯岡、太東という九十九里浜の両端の津波が高かったのもエッジ波の影響もあったわけです。
以下、御宿2.5メートル、勝浦2.2メートル、天津2.0メートル、千倉1.6メートルと外房を南下するほど津波が低くなります。
ここから房総半島突端の根本で2.6メートルと再び高くなり、房総半島をやや回り込んだ布良(めら)で2.0メートルです。
津波は、今度は東京湾を北上して行きます。富津市大貫で2.8メートル、新富津で2.9メートル、木更津2.5メートルです。
容易に想像されるように、浦賀水道の細くなったこところで津波が高くなり、そこを抜けるとまた低くなります。
ところが、東京湾の一番奥の船橋で再び2.8メートルと高くなっていたのです。
先の6月議会で、私は東京湾奧の高潮対策を訴えました。
基本的に3メートルの高潮を防げるように防潮堤などの施設が整備されていますので、数字の上では2.8メートルはぎりぎり大丈夫ということになります。
しかし、台風などの高潮と重なればアウトです。しかも6月議会で明らかになりましたが、高潮ハザードマップもないのですから。

防災関連科目新設へ

千葉県教育委員会は、7月20に県立学校改革推進プランの素案を公表しました。
千葉日報が7月21日に報じたところによれば、新たな公立中高一貫校の設置や観光系のコース、環境問題を重点的に学ぶコースの導入といったなかに「東日本大震災を教訓に防災関連科目の導入について検討する」ことなどを盛り込んだとのことです。
私は、千葉県は、こと『津波』に関しては、岩手県、宮城県、高知県に続き、三重県とならんで、わが国で4番目、5番目に被害を受けてきた県ですので、本年6月22日の代表質問において、以下のように質しました。
『ただ、ここで気をつけなければならないのは、およそ三陸地方で防災教育に取組んでいない自治体などひとつもないということです。
宮古であれ、大船渡であれ、陸前高田であれ、気仙沼市であれ、みな釜石に近い取組みを行い、それはレベルも高く、徹底したものでした。
にもかかわらず、なぜ釜石だけが99.8%の児童生徒が助かったのか?
他の自治体とは何が違ったのか?
この点を徹底的に研究していただきたいと思います。』
『防災教育は、すぐれて地域性の色濃く出る教育となります。
津波を恐れなければならない地域、地震を恐れなければならない地域、液状化危険地域や土砂災害危険地域もあると思います。
いずれにせよ、自分で自分の身を守れる知恵をどうつけるかがカギだと思います。
学校教育で取り上げることが、またしても多くなってしまうところではありますが、本県の防災教育の取組みについてのお考えをお聞かせ願います。』
どうぞ、他県にはない本物の防災教育の導入をお願いいたします。

清掃工場からのセシウム検出

柏市第二清掃工場(南部クリーンセンター)から7万ベクレルを超える放射性セシウムが検出されたことはショックでした。そして同時に「やはり来たか」という思いもありました。

放射性物質が木の葉や草に集積した場合、それらを剪定したり刈ったりして廃棄物としてステーションに出せば、当然いずれかの清掃工場に運ばれます。
それが日常的に繰り返されれば、清掃工場の焼却灰から放射性物質は当然検出されるでしょうし、焼却炉そのものが放射性物質で汚染されることもあり得ることです。
こうしたことは法令で規制できる話ではありませんし、早晩起こることです。
今回の検出は6月24日に採取した溶融飛灰固化物です。
おそらく6月の上旬にはかなりの濃度に達していたと思われます。
そして、同様のことが近隣の清掃工場で起こっていないかと言うと、流山市のクリーンセンターでも2万8000ベクレルのセシウムが検出されています。(採取7月5日)
この濃度差はもしかしたら単に炉の大きさということになのかもしれません。

いずれにせよ福島原発からの放射性物質の流出が止まっていない以上、こうしたセシウム検出炉はどんどん拡散していくことになります。
まずは、飛灰のしっかりした管理と監視に万全を期さねばなりません。
そのうえで、処理方法を国が明確に示し、処理費用を国が負担することが求められます。
それまでの間、ともかくも東葛6市でお互いの清掃工場の使用をやりくりをしながら、お互いの一時保管場所が満杯にならないようにしなければなりません。
今、第1番に求められるのは国の対策を講ずるスピードです。
その最もふさわしくない人が内閣総理大臣だということにやり場のない絶望感を覚えるのです。

本当は誰も原子力をやりたくない

原子力発電は、本当はやりたくないというのが誰しもの気持だと思います。
その証拠に、原発建設を問う巻町での住民投票も海山町での住民投票も反対が多数を占めました。
刈羽村ではプルサーマルの実施についての住民投票でしたが、微妙に反対が多数を占めました。
「それでもやる」という人も、要するに「必要悪」だということなのだろうと思います。

誰もがやりたくない。
しかし、その一方でエネルギー資源の乏しい日本という国があり、狭い地域に1億を超える人がひしめき合い、昼夜とも照明を使い、冷房を使い、エレベーターやエスカレーターで昇降し、ドアですら自動に開閉するのを当たり前と思っています。
おそらく現代日本においては、産業の上でも生活の上でも停電は絶対許されないことなのだろうと思います。
この実に不条理な選択にどう決着をつけていくかこそ政治の役割なのですが、政府は迷走するばかりです。
海江田経済産業大臣は原発再開に走り回り、菅総理はそれに水を差す発言をする。
そのあまりにも理屈のなさが海江田大臣の7月7日の予算委員会での涙だったのでしょう。

政治というのは理想を追い求めることも大事ですが、現実に生きている私たちのためのものである以上、現実的な対応が求められます。いきなりすべての原発を止めることがどういう結果になるのかまで正確に見通したうえで「やる」「やらない」「どういう場合なら・・・」という政治的な判断をしなければなりません。
そうした誰もがわかる説明抜きに動いたり、止まったり、後戻りしているのが今の政府です。
その根源が内閣総理大臣だというのですから、混迷は深まるばかりです。
日本人の私たちですらどうしようもないと思っているのですから、外国からみれば日本はまさに不思議の国。
ますます投資の対象からはずされてしまいます。

液状化の実際

千葉県環境研究センター 地質環境研究室のKさん(理学博士)に液状化についての最新の知見を伺いました。
Kさんからは、すでに何度もレクチャーを受け、実際に千葉市から浦安市の視察に同行していただいております。
そのたびに新たな発見が増え、液状化に対する見方が深くなります。
今回は、実際に液状化している映像を見せていただきました。
これは、3月11日の当日に、かつて千葉県東方沖地震で液状化した稲毛海浜公園のその後の調査をしていたときに、東日本大震災に出くわしたという、あまりにも液状化の専門家らしい体験により撮影できた映像でした。
かつて液状化した場所は、やはり液状化しやすい場所です。
稲毛海浜公園でも、ある一か所に噴砂が起こり、すぐに止みます。数秒後にその一か所が少し長い線状になって噴砂します。
そうこうしているうちに芝生の部分が隆起し出し、隆起した部分としなかった部分の境目からどんどん砂混じりの水が湧きあがってきます。
地震がおさまってからもしばらく砂混じりの水の噴き出しは続き、公園に大きな水たまりができてきます。
こうした映像を撮影できたのも継続的に調査を続けているからです。
私も、地質研究室の千葉県東方沖地震についての詳細な報告書を知っておりますので、これまで研究されている皆さんの労作業には頭の下がる思いでした。
しかし、今回のレクチャーでは、東日本大震災は当然として、これまでの中越、北海道、宮城、鳥取、芸予などなど、地震が起これば常に調査研究を続けてきており、しかもつい最近まで費用は交通費含めすべて自費、自分の休日を使ってデータや資料を集めていたということを初めて知りました。
こうした地道な研究者の努力に支えられて、県内の災害の分析や対策が立てられることを再確認しました。
私たちは、研究者のみなさんのモチベーションの高さやまじめさにしっかりと答えていかねばならないと決意を新たにした次第です。