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6月定例会の議案第1号

20160524県報5月20日付の千葉県報が届き、千葉県知事より「平成二十八年六月定例県議会を平成二十八年五月二十七日午前十時県議会議事堂に招集する。」という通知がありました。
予算執行に必要な議決を得るために知事が招集するので、差出人は秘書課ではなく財政課です。
さて、審議予定の議案第一号は県税条例改正案です。
法人県民税の税率を3.2%から1%に引き下げるなど、県から見れば税収減になる議案です。
その代わりに、来年4月に2%アップされる消費税から補てんすることになっています。
消費税2%を4月に上げるがどうかは、経済状態などにより判断されることになっていますが、仮に延期となると県は歳入減となります。
消費税は社会保障の安定財源として期待されているだけではなく、実は地方財政にも連動しています。

地方財政の基礎資料

地財8面体先輩議員や同僚議員の手を借りて、議員として最低限知っておかなければならないことを研鑽する場として1期議員研修会を開催してきました。
その中で気づいたことは、特に「地方財政」の知識は意識しないと身につかないということでした。
そこで、一期議員が知っておくべき最低限の地方財政の知識とは何だろうというのが、ここ数年の私の問題意識でした。
未だ結論には至っておりませんが、とりあえず今朝5時に勢いで資料を作り上げました。しばらく持ち歩いて、時々眺めてみてバージョンアップを図っていこうと思います。

自治体の黒字とは?

20160321日経 (640x360)20160321千葉日報 (360x640)今朝の日経新聞は『「赤字」自治体ゼロ』と報じました。
これは誤報ではありませんが、誤解を与える見出しであることは確かです。
今朝の千葉日報が『累積赤字圧縮も依然568億円』と県外郭団体の赤字決算を報じていたのが対照的でした。
日経記事を正確に読むと以下の2つがポイントです。
1、『国からの財政支援である地方交付税などを含めても赤字決算の自治体の数は07年度の24から徐々に減って
2、『歳出を歳入でまかなえない「実質赤字」の(自治体)が2014年度決算で2年ぶりにゼロになった
ここで分かるのは、あくまで国からの地方交付税があって黒字ということです。
私の手元には13年度の数字しかありませんが、千葉県の地方交付税は1670億円で、歳入全体の10.2%を占めています。
歳入歳出の差引は269億円ですから、地方交付税がなければ約1401億円の赤字です。
なるほど、地方交付税があるから黒字か、と言うとそうではありません。
なぜなら、千葉県は1848億円の臨時財政対策債という債券を発行して借金をしているからです。
臨時財政対策債とは、本来、国が地方交付税として県に渡さねばならない財源なのですが、千葉県が国の代わりに借金しているのです。
つまり、国からの地方交付税1670億円-歳入歳出差引額269億円為=1401億円の黒字ではなく、その実態はさらに1848億円を差し引いた約447億円の赤字なのです。
このカラクリを知らないと、財政を誤ってしまいます。ですから、たとえ(誤報ではない)新聞記事といえども要注意なのです。

ふるさと納税の新たな形

「ふるさと納税制度」が人気です。
制度の仕組みは、住んでいる自治体の住民税を別の自治体に移譲するというものです。
考え方によっては、誰かの損によって誰かが得するような、誰かの「犠牲」によって成り立っているという側面があり、私としてはしっくりこない制度でした。
自分の住んでいる自治体から受けるサービスは住民税という形で負担するという「理屈」と、たまたま首都圏に近い都市は努力なく住民税を集めているという「反論」とのせめぎあいもありました。
そんな時に、昨年12月8日の福島民報の記事をみてはたと膝を打ったのでした。
『鬼怒川の洪水被害を受けた茨城県常総市では、15年度のふるさと納税を利用した寄付は8月末まではわずか9件だったが、9月の被災後、約3千件に急増』
ふるさと納税制度が、どうやら新しい形の寄付文化の形成につながっているようなのです。
同制度が、これから先も広く支持されるとすれば、こうした形の「共助」なのだろうと思った次第です。

この4年間が大事

今朝の日経新聞9面の記事『地方創生 財政の壁』は、私が思っていた以上に政令市の財政力の厳しさを浮き彫りにしていました。
とは言え、都道府県もまた財政余力があるはずもなく、単純に歳入構造の変更ができるはずもありません。
ここで私の脳裏をよぎるのは、今年の「骨太の改革」です。
地方財政の影響を考え(?)、「2018年度まで2015年度地方財政計画の水準を下回らないようにする」という国の方針です。
これは「2019年度以降は知らないよ」とも読み取れる文言であって、もちろんそれは邪推だとは思いますが、それでも国の赤字財政を考えれば2019年度の地方交付税があまり期待できないことは織り込んでおかねばなりません。
2019年度といえば、次の統一地方選挙の年度になります。
つまり、やらなければならない政策や事業は今期に実現しなければならないのです。地方においては、政党の力が試される4年間だということなのです。