東北地方太平洋沖地震」カテゴリーアーカイブ

国土地理院との協定を

国土地理院の5万図や地形図はかなり持っています。地図から送電線のデータがなくなると聞けば残念がり、復活したと聞けば喜ぶ単純なファンです。
さて、昨年3月11日の東日本大震災においては、石巻市牡鹿基準点で東南東方向に5.3メートル、上下方向では、1.2メートルの沈下が観測されました。しかも、地震発生後も、東北地方から関東地方にかけて、今なお東向きの地殻変動が継続しており、基準点のある、本県・銚子市でも17センチメートルの移動が確認されています。
私たちは、首都直下地震や、東海・東南海・南海の三連動と言った、まさに地殻の変動、地形の変化・変位を伴う巨大災害を想定して、災害対策を講じなければならなくなりました。
そうであれば、最も地形・地理情報を所有している国土地理院との情報連携を欠かすことはできません。
東日本大震災では、被災状況の把握や復興において、地理情報の重要性があらためて指摘されたところであり、本年3月に、地理空間情報活用推進基本計画が改正されました。
これにより、たとえば千葉県が所管する河川、道路、海岸線に変化が生じた場合に速やかに国土地理院に情報提供する、それをもとに地理院は、電子国土基本図の更新ができるようになります。
一方、国土地理院には、明治中期以降に整備された「旧版 地形図」から、1940年代後半の、米軍による全国の航空写真、さらに、その後の今日まで営々と集積され蓄積された写真やデータがあります。
国土地理院との協定を、千葉県としてぜひ進めていただきたいと思っています。

原発事故からの避難の日

その日の新聞に福島原発の記事がないと心配になります。
あれほどの災害が忘れ去られることに危機感を覚えます。
原発事故は、言わば終わりのない噴火災害に近いものがあります。
放射性物質の半減期が何万年というスケールなので、沈静化に向かう時間的スケールがけた違いに長いのです。つまり、時間に解決をゆだねられないのです。2万年から10万年たって沈静化するというのでは、沈静化しないことと同義なのです。
今なお福島第一原発の鎮静化に大勢の人たちが命懸けで取り組んでいるのであり、それがあって初めてわれわれの生活や人生が成り立っていることを忘れてはならないと思います。
「新聞やテレビに報じられないこと」イコール「放射性物質の拡散がなくなった」ではありません。
むしろ、これからの長い長い年月、我々や我々の後に続く青年世代や子どもたちに、これからも絶対に負けない気持ちと挫折しない強い決意で、メルトダウンした原子炉に立ち向かうことを明確に伝えていかなければなりません。
さらにそのことを、次の世代へ、次の次の世代へ、しっかりと伝えていかなければならい義務を負っているのです。
私は、広島、長崎への原爆の投下の日、8月15日の終戦記念日と同レベルに重要な日として、『福島の日』を定めるべきなのかも知れないと思っています。

地下水よりも知恵を引き寄せるシステムを

今日の千葉日報の福島第1原発関連の報道で非常に気が重くなる記事がありました。
『地下水流入 増える汚染水』という見出しで、以下の記事です。
『メルトダウンした1~3号機では冷温停止状態を維持するため、冷却に使った水を循環させて再度、原子炉に注入していする。このシステムでは建屋の地下にたまった冷却水からセシウムや塩分を除去して再利用する。ところが地下にたまった水に1日当たり約400トンの地下水が流入』しているというのです。
毎日400トンといえば単純計算で年間14万6000トン。100メートル四方の広さで高さ15メートルほどのイメージです。これが仮に50年を考えれば730万トン。どう処理すればよいかと思います。
記事によれば『流入量を減らすため、建屋西側に深さ20~25メートルの井戸を12本掘り、地下水をくみ上げる予定だが、やみくもにくみ上げれば地下水位が下がりすぎ、建屋の地下にたまった水が逆に周辺の地層に染み出しかねない。』とされています。
土木の世界に『圧密沈下』とぃう言葉があります。
地盤に荷重がかかった時に土中の水が抜け地盤の体積が減少する沈下のことです。
記事にあるように地下水をくみ上げると回りからの地下水を呼び込むことになりますので、建屋下から汚染水を引き寄せたり、さらにはくみ上げることによって地盤沈下の問題を引き起こすかもしれません。
一度沈下した地盤は、あとから水を注入すれば元に戻るというものではありませんので非常に厄介な問題です。
何かの対策を立てれば、別の問題が生じるというパターンです。
原発事故問題は、ただただ東電が悩む、苦慮するという状況ではありません。
国内外問わず、あらゆる階層の人たちから知恵を引き寄せる仕組みをつくることが第一に求められているように思うのです。

旭市の復旧・復興

今日は旭市の復旧復興状況の視察にいきました。
大震災・津波の際に、海から来た津波と海へ戻る津波がちょうどぶつかって、まっすぐ上に持ち上げられてしまった日の出橋という橋があります。
震災直後、この橋はまっすぐ上に持ち上げられて陸側の車道に乗り上げていました。その写真と今回それをもとの位置に戻した写真を掲載します。
旭市飯岡のあの津波に被災した町は大体6割から7割が復旧した印象でした。
あの津波直後にがれきに埋もれていた文房具屋さんはこうなったのか!
あの時、基礎からそっくりもって行かれたあの家は無くなって更地になっている!車が逆さに乗り上げていた街路灯が無くなっている!
などなど、あの時の驚くべき光景が思い出されました。
津波はこれで終わりではありません。これからも繰り返し繰り返し町を襲います。
そのときにどうやって命と財産を守るか、3・11の教訓を生かさねばなりません。
津波タワーをつくる、防潮堤をつくる、RCの住宅を建てる、やれるべきことは幾つもあります。
そのうえにスピード感を持つことが大事です。
15人の犠牲を決して無駄にしてはならないとあらためて決意しました。

行政刷新会議のお蔭で

最悪だった民主党政権のなかで、唯一評価できるのは内閣府の行政刷新会議の仕事だと思っています。
先ごろ、NHKがテレビ番組の中で復興予算が復興と直接関係のないところで使われているという事例の放映をしました。
この取材ネタも行政刷新会議の『行政事業レビュー』だとのことです。
内閣府のホームページからたどっていくと、「〇平成23年度行政事業レビューの取組関連」というコーナーがあります。
その下に「〇東日本大震災復興関連事業(平成23年度第3次補正予算関連)の精査について」があり、各省庁の各事業の説明があります。そして、それら事業の一つ一つを「整合性」「優先性」「効果」「費用対効果」「国、自治体、事業実施者の役割分担」「計画性」「透明性」などの観点から点検された模様がアップされています。
たとえば、問題となったシーシェパードへの安全対策は、『鯨類捕獲調査安定化推進対策』という事業名です。
問題となった優先度の高さですが、こう説明されています。
『被災した石巻周辺地域は、鯨関連産業が地域の主要産業となっており、当該地域の復興を図る上で、調査捕鯨の安定的な実施が不可欠であり、本事業は被災地のニーズや優先度が高い事業内容である』
効果的な事業かとの点検についてはこう説明されています。
『本事業の事業内容である調査費用についての支援や反捕鯨団体の妨害活動に対する安全対策の強化は、鯨類捕獲調査の安定的な実施に必要不可欠な措置であり、本事業の実施により、調査の安定的な実施が可能となる』
このように、極めて緩やかな点検がなされ、いとも簡単にほとんどの事業がすり抜けてしまい、復興予算が復興と結びつきにくいところに使われてしまった痕跡をたどることができます。
結果的には、税金の無駄遣いであれ、少なくともどのようにごまかされたかを検証することはできます。行政刷新会議のおかげで少なくとも歯ぎしりはできるというわけです。